脳ドックMRI検査で重要な所見を見抜く

画像レッスンでは、あらゆる画像を確認しながら見落としてしまいそうな症例や診断についてを学んでいただくまなびの「場」です。

今回のレッスンはこちら▷「脳ドックMRI検査で重要な所見を見抜く!」です。

脳ドックMRI検査とは、症状を起こしていない脳梗塞や微小出血、くも膜下出血の原因となり得る脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)、脳腫瘍、頭に血流を送っている頚動脈(けいどうみゃく)の狭窄(きょうさく)などを探すことが主な目的です。

そのため、疾患リスクの早期発見が、重要な役割を担っています。

MRA画像

画像Aは、頭部MRI検査で血管の流れや走行を確認する画像で、

これから画像再構成を行うと、3D立体画像作成ができます。

MRA 3D画像

この3D立体画像を注意深く観察すると、両方の血管の部分に白い影がうっすら見えるのがわかるでしょうか??

この白く見える現象の場合は、特に血管走行には問題がない状態と言えます。

それに対して、こちらの画像Bを観察してみましょう。

このエリアは、内頚動脈という場所を表していて、

白く写っている血管の左と右の内頚動脈を注意深く見ると、左の内頚動脈が少し膨み、血管の中に淡く黒い影が見えるのがお分かりでしょうか?

これが、脳動脈瘤です。

脳動脈瘤の好発部位

脳動脈瘤が最も起こりやすいと言われる部位は、
前交通動脈、内頚動脈、中大脳動脈の3か所と言われています。
血管走行の左右差を注意深く確認し、
脳動脈瘤を見つけることは脳ドック検査で最も重要になります。
30歳以上の成人において、約3%の頻度で認められるというデータ結果もあるので、
特に高血圧、喫煙、脳卒中の家族歴がある方は注意が必要です。
もし、破裂した場合は、くも膜下出血の恐れもあると言われますが、発生率は低く、発生している部位や大きさによって破裂する率が変わるとも言われています。

参考文献:日本脳ドック協会

脳動脈瘤が破裂すると、クモ膜下出血(頭蓋骨と脳の間にある空間への出血)が発生します。

くも膜下出血が起きないように画像から未破裂の瘤を探すことが何よりも大事です。

背景に高血圧・喫煙・最近の多量の飲酒、家族性などが動脈瘤ができやすい人との報告があります。

本日のワンポイントレッスンは以上になります。

今回は、脳ドックMRI検査での脳動脈瘤の診断が、命を左右する所見の早期発見に重要な役割を担っている点を症例をお見せしながらご紹介いたしました。

次回も皆さんの健康の為になるワンポイントをご紹介していきますので、ぜひお楽しみに。