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多発性硬化症はCT・MRIでどう写るのか?押さえておきたいワンポイント

画像レッスンでは、あらゆる画像を確認しながら見落としてしまいそうな症例や診断についてを学んでいただくまなびの「場」です。

今回のレッスンはこちら▷「多発性硬化症」です。

多発性硬化症とは、脳や脊髄、視神経など中枢神経系の病気で、比較的に若い人に発症しやすく、

特に女性に多い病気と言われています。

多発性硬化症の特徴は、痛みや温度がわからなくなったり触覚が鈍くなったりしびれや痛みを伴うことがあります。また首を曲げた時などは、腰から足にかけて感電したようなしびれや痛みが、走ります。

多発性硬化症を治療せずに放置してしまうと、体の機能の障害が進行したり、
脳の容積が減少(脳萎縮)し、脳萎縮の進行とともに、
認知機能障害(集中力・理解力・記憶量の低下など)の症状が出てしまう恐れもあるため
非常に危険を伴います。

参考資料:多発性硬化症.JP

多発性硬化症の診断は、MRIなどの画像検査、誘発電位などの生理検査、血液検査や髄液検査によって行われることが多いです。

CT画像

このCT画像では異常は認められませんが、

MRI画像B T2強調像(左) FLAIR像C(右)

上の画像は、両方ともにMRI画像です。

注意深く観察すると、右視床部にT2強調画像、拡散強調画像でDawson’s finger(側脳室壁から皮質に向けて伸びるもの)が確認できます。

このように、MRI画像では、CTよりもより脳の症状を違いを発見し、正確に診断・措置することができるのです。

急性(活動性病変)の場合、造影MRIにより増強効果があるのか確認することが必要で、脳皮質と直接接触しているT2強調像で白く映る白質病変※として定義されます。

※白質病変:脳深部の大脳白質に起こった虚血(血のめぐりが悪くなって、器官が酸素不足になっている)状態の事。

脳や脊髄において脱髄病変がどこにどれだけあるかを確認し、造影剤を使用することで、新しい病変は白く描出されて区別がつきやすくなることがポイントです。

ただし、画像だけでは判断できませんので、患者の症状と照らし合わせて慎重に診断していくのが必要となってくるのです。

多発性硬化症の治療は、早期治療が必要な場合。ステロイドパルス療法で炎症を抑える副腎皮質ホルモン剤を比較的大量に短期間投与する治療を行います。

最も重要なのは多発性硬化症の再発や進行を未然に抑えることです。

再発進行防止のため、早期診断による治療効果が高いことが解明されていて、。一度障害された脳神経組織の修復は、現在の医学では難しいので、早期発見・早期治療が不可欠となるのです。

本日はかなり難易度の高い画像から見つけるワンポイントレッスンになりましたが、皆さんわかりますでしょうか?

画像診断とは、いろいろな症状の仮説を行い、患者様様の所見を慎重に診断することで最善の治療や改善策へと導く重要な診察です。

今回の画像は、多発性硬化症についてのご紹介でした。

次回も引き続きワンポイントレッスンをお楽しみに。