トリカター胸部X線撮影Part.1ー

撮影ポイントを各部位ごとに細かく解説した放射線医師・技師のため情報をお届けします。

今回の部位は胸部X線撮影Part.1」です。

撮影概要とポイントについて

・肺野を切らない
・正面は僧帽筋のラインで見る
・側面は体動に気を付ける

撮影条件

 管電圧:120kV 
 管電流:200mA
 撮影時間0.14sec(AEC:自動露出機構、フォトタイマ方式を併用)
 撮影距離180cm

正面撮影のポイント

基本的にP→Aで撮影します。
患者さんには胸を板につけるようにお願いします。
あごは必ず台にのせるのではなく「なるべく上を向いてください」と声かけし、あごをのせれそうな方ならのせて頂くようにしています。

※Pisterior:後ろ Anterior:前

次に高さを調節します。

胸を板につけている状態

僧帽筋のライン(黄線)が入るように第7頸椎(脊椎のくびの部分)が上限になるように位置を合わせます。(体格によって肺の形が変わります。例えば、高齢の女性患者さんは比較的に肺尖(肺上部の尖端部)が高い位置にありますので注意が必要です。逆に、体型がかなり大きい患者さんは肺尖がやや低い位置にあり、かつ肺底部が比較的に上部にあります)

胸部撮影正面では肺尖・肺底部をきらないというのが一番のポイントです。高さが決まったら、次のように両肩を板につけるようにお願いします。そして腕が照射野に入らないように腕を前に出します。肩を前にやることで肩甲骨が外側に向き、肺野と被らなくなります。

そして腕が照射野に入らないように腕を前に出します。肩を前にやることで肩甲骨が外側に向き、肺野と被らなくなります。

肩を板につけている状態

脇下のラインを確認し、照射野に入っていることを確認し、息を吸ってもらい撮影します。
肺尖や肺底部の位置をイメージすることで、技術の向上・写損画像の減少につながります。

脇下のラインを確認し、照射野に入っているか確認

側面撮影のポイント

基本的には正面を撮ってから側面を撮影します。
板の高さはそのままで行います。(※円背が強い方などの場合は下げて撮影を行います)
患者さんには右横を向いていただきR→L(右側→左側)で撮影を行います。なぜかというと、心臓の拡大を防ぐためです。

両腕は肺野に重なるため手をあげて撮影します。
手はこのように付属のスタンドなどをつかんでいただくと体動が少なくなります。
また、手の握り方もいろいろあり患者さんに合わせて上のパターンで撮影を行います。これに加え腕をクロスして握るとより固定されて体動が少なくなります。患者さんにあわせてパターンを変えています。

側面撮影で両手を挙げている状態

真側面にしっかりなっているか確認するため、このように肩甲骨をおさえて確認します。
胸部側面撮影では体幹と装置の接触面が少なく、体動がよく出る撮影です。コツとしては患者の目線を真っすぐからやや下気味にする。腰を引くと固定され、動きが少なくなります。

肩甲骨をおさえて確認

実際の画像

こちらは胸部X線写真です。左が正面、右が側面像です。

正面像では肺野がしっかり入っているか確認します。肩甲骨が肺野と重なっていないか確認します。(できるだけ重ならないようにします。)

胸部X線正面画像

側面像では肺野がきれていないか確認します。左右の肺がそろっているか、真側面を撮影できているか確認します。
最後にできるだけ被ばくを少なくするため、腹部側のコリメータ(照射野の絞りの事)を絞り被ばく低減を心がけています。

胸部X線側面画像

以上が胸部X線撮影Part.1のご紹介でした。
ご覧いただきありがとうございました。

次回は胸部X線撮影Part.2をお届けします。

[/if-login]