トリカター頸椎のレントゲンPart.1ー

撮影ポイントを各部位ごとに細かく解説した放射線医師・技師のため情報をお届けします。

今後の勤務の際にお役立てください。

今回の部位は「頸椎のレントゲンPart.1」です。

撮影概要とポイントについて

・頸椎正面
 顎を上げる:下顎骨ー後頭隆起をそろえる
 眼窩を照射野に入れない
・頸椎LAO・RAO
 両斜位撮影:体幹を50°ぐらい傾ける
 緩急を15°打ち上げ
 椎間孔が描出する

撮影条件

 管電圧:75kV 
 管電流:250mA
 撮影時間0.032sec
 (体動対策のため電流を増やし、撮影時間を短くする)
 撮影距離150cm

頸椎正面の撮影

A→P方向で撮影します。
患者さんにはブッキー台に背を向けて座っていただき、撮影を行います。

※Anterior:前 Pisterior:後ろ

管球の方を向いて座って撮影する状態

次に管球を15°打ち上げます。

なぜ、15°管球を傾けるのか?

椎間関節がだいたい10~15°傾いてますので、椎間関節に対して平行にX線を入射させるため。

頸椎X線で椎間関節の角度を確認している画像

次に顎を上げていただきます。これは、頸椎が長く広く撮影できるようにするためです。中には痛みでできない方も多くいらっしゃいますので、可能な範囲で顎を上げましょう。この時、下顎骨(青)と後頭隆起[乳様突起先端](黄)を結ぶラインを入射X線に対して平行になるように顎を上げるのが重要です。

下顎骨(青)と後頭隆起[乳様突起先端](黄)を結ぶラインを入射X線を確認している状態

患者さんの前から左右のオリエンテーションを確認します。
照射野の縦ラインは正中に、横ラインは甲状軟骨レベルに合わせます。つまり入射点は甲状軟骨(のどぼとけ)になります。
照射野範囲の上側は耳介上縁に合わせて、眼窩が照射野内に入らないように確認し、撮影を行います。(目の被ばくを防ぐためです。)
撮影する際は患者さんに目を開けて頂きます。目をつぶったままだとふらつくので目を開けて一点を見て頂くようにすると動きが少なくなります。
また、息が荒い方は肩の動きが目立ちますので、そういった方は息を止めて撮影を行います。

左右のオリエンテーションがないか確認している状態

頸椎LAO・RAOの撮影ポイント

※RAO(right anterior oblique):右前斜位方向 LAO(left anterior oblique):左前斜位方向の略です。

頸椎斜位の撮影は主に椎間孔を見るために撮影します。
椎間孔を広く撮影するために椎間孔に対して垂直に入射線を入れる必要があります。
椎間孔を模型で確認してみましょう。

椎間孔を表した模型

だいたい15°下を向いていますので、15°管球を打ち上げた状態で撮影します。また、椎間孔は、正面からだいたい50~55°斜めを向いています。

椎間孔が見える角度を表した図

椎間孔を正面から撮影するために患者さんに斜めを向いて頂きます。だいたい50°~55°傾いていただきます。ポイントとして思ったより角度をつけて向いていただくとうまくいくと思います。

LAOで座っている状態

患者さんの後ろ正面から左右のオリエンテーションを確認します。照射野の縦のラインは下顎角(○青)を、横ラインは甲状軟骨(○黄)を通るようにします。照射野の上限は外耳孔レベル(青線)にして眼窩を入れないようにし、撮影を行います。

照射野の縦のラインは下顎角(○青)を、横ラインは甲状軟骨(○黄)を結ぶラインに合わせる

実際のレントゲン

頸椎正面

頸椎全体が含まれ撮影ができています。下顎骨と後頭隆起が一致することが理想です。椎間間隙が広く描出されています。

頸椎正面画像

観察するポイントとして、

①頸椎のアライメント(左右の配列)、椎間関節

②ルシュカ関節の状態(骨棘形成の有無)

③椎弓根が左右対称に確認できるか(腫瘍があると、椎弓根が確認できないため)

頸椎斜位(RAO、LAO)

椎間孔が広く描出されています。

RAO・LAO画像

LAO・RAOの観察ポイントとして、

①椎間孔の形状確認(神経が通る穴がきちんと保たれているか)

②椎弓根、椎間関節、ルシュカ関節の状態(骨棘形成の有無)

③椎間孔がうまく描出できないときはそれ自体が症例(もともと狭くなっている)可能性があるので、  

 患者さんの症状(手のしびれなど)を聞く

以上が頸椎の正面、斜位の撮影のポイントとなります。

動画で確認したい方はこちらのURLより視聴して頂けますので、ぜひよろしくお願いいたします!

https://www.umu.co/ssu_bplue258
ご覧いただきありがとうございました。

次回は頸椎レントゲンPart.2をお届けします。

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