トリカター前腕のレントゲンー

撮影ポイントを各部位ごとに細かく解説した放射線医師・技師のため情報をお届けします。

今回の部位は「前腕のレントゲン」です。

撮影概要とポイントについて

・正面:肘関節~手関節まで
   :カセッテに前腕背面をつける
   :手掌を上に向け、肘関節および手関節を水平
・側面
   :肘関節を90°屈曲
   :肘関節および手関節を水平にし、手掌面をカセッテに対して垂直

撮影条件

管電圧:52kV 
管電流:100mA
撮影時間0.04sec 
撮影距離100cm

前腕正面の撮影

患者さんには椅子に座っていただき、前腕を確認します。カセッテに腕を乗せ、手のひらが上を向くようにします。(当院では手関節がフィルムの上に来るように撮影しますので、カセッテの上に手関節が来るようにします。)

カセッテに手のひらを上にした状態で撮影

撮影の補助具などを利用して肘関節と肩関節(上腕と前腕)の高さを同じにします。

肘関節と肩関節(上腕と前腕)の高さを同じなっているかを確認

上腕骨内顆(赤)と上腕骨外顆(青)がカセッテと平行になるようにします。

上腕骨内顆(赤)と上腕骨外顆(青)がカセッテと平行になっている状態

やや外旋(親指方向に手を傾ける)していただきます。痛みが強い人などは、なかなか外旋できませんので、そのときはカセッテに対して横向きに座っていただきます。コツとして、上半身を後ろに傾け、反るようにしていただくと外旋しやすくなります。

横向きに座っている状態(痛みが強い患者さんの場合)

体格が大きい人ではB4サイズのカセッテを対角線上に、もしくは大角や半切サイズのカセッテを使用し、手関節と肘関節が撮影範囲に十分入るようにします。照射野の縦横ラインは前腕の中心を通るようにします。撮影時は動かないようにアナウンスをして撮影します。

前腕正面撮影の中心点を表している

前腕側面のポイント

正面と同様に座位で撮影を行います。肘を90°屈曲していただきます。補助具などを利用して手関節、肘関節、肩関節(上腕と前腕)の高さを同じにします。

肘を90°屈曲している状態

肘関節は肘関節側面撮影にできるだけ近づけて撮影をします。手関節は手関節側面撮影になるようにポジショニングします。

尺骨の背側(青〇)と橈骨茎状突起(黄〇)を押さえ、上から観察(矢印)し、橈骨と尺骨がそろうようにします。

橈骨と尺骨がそろうように調整している状態

体格が大きい人ではB4サイズのカセッテを対角線上に、もしくは大角や半切サイズのカセッテを使用し、手関節と肘関節が撮影範囲に十分入るようにします。照射野の縦横ラインは前腕の中心を通るようにし、撮影時は動かないようにアナウンスをして撮影します。

前腕側面撮影の中心点を表している

実際のレントゲン

前腕正面画像

前腕正面のレントゲン画像です。

前腕正面画像

ポジショニングのチェックポイントおよび観察ポイントとして、

・肘関節から手関節まで含まれて描出されている。
・橈骨と尺骨が分離して描出されている。
・手関節、肘関節(腕橈関節と腕尺関節など)の整合性

・橈骨・尺骨の長さ、亜脱臼
・その他の異常所見:骨腫瘍

前腕側面画像

前腕側面のレントゲン画像です。

前腕側面画像

ポジショニングのチェックポイントおよび観察ポイントとして、

肘関節から手関節まで含まれて描出されている。
橈骨遠位と尺骨遠位が揃って描出されている。上腕骨滑車面が重複している。
手関節、肘関節(腕橈関節と腕尺関節など)の整合性

橈骨・尺骨の長さ、亜脱臼
その他の異常所見:骨腫瘍、先天性橈尺骨融合症

動画で確認したい方はこちらのURLより視聴して頂けますので、ぜひよろしくお願いいたします!

https://www.umu.co/ssu_bpqYa933

以上が前腕レントゲン撮影のポイントとなります。