トリカター肩関節撮影 Part.1ー


記事の監修医師
【略歴】
熊本大学医学部卒業
【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授
撮影ポイントを各部位ごとに細かく解説した放射線医師・技師のため情報をお届けします。
今後の勤務の際にお役立てください。
今回の部位は「肩関節撮影 Part.1」です。
撮影概要とポイントについて
・肩正面内旋位撮影:座位または立位。
内旋位:肘を屈曲し手をお腹の上に置く。
管球は0°。
・肩正面撮影(関節腔)Ture AP:体軸を30°くらい回旋(肩甲骨関節窩に接線)。
上腕骨はやや外旋位。
管球は打ち下げ20°。
撮影条件
管電圧:70kV
管電流:200mA
撮影時間0.08sec
撮影距離120cm
肩関節正面の撮影
患者さんには座位もしくは立位になっていただきます。
(この後20°打ち下げることや体動を減らす意味で座位をおすすめします。)
患側をブッキー台の中心になるように座っていただきます。
患者さんの肘を屈曲し手をお腹の上に置くように内旋位をとってもらいます。

背筋を伸ばしていただき、背中をブッキー台につけます。(前屈にならないように注意します。)

照射野の入射点を肩甲上腕関節に合わせます。
撮影時に息を止める合図をし(動き抑制のため)、撮影を行います。

肩正面撮影(関節腔)Ture AP:斜位撮影のポイント
※Ture AP:肩甲上腕関節と肩峰下面の裂隙を描出する方向に撮影する方法
患者さんに体をやや外側に回旋するように伝えます。

どのくらい回旋するかというと、上から見た画像ですが、肩甲骨がこのようにあります。この肩甲骨がとブッキー台が平行になるように傾いていただきます。

入射線(赤)が肩峰(黄)と烏口突起(青)を通るようになり、このラインがブッキー台と垂直になり、このとき背中とブッキー台の角度は約55°ほどになります。

掌側を正面に向け患側の腕を外旋させます。
肩に痛みがある方がほとんどです。そのときは無理せずにできる限り外旋してもらうようにしています。

管球を20°打ち下げます。
照射野に顔が入らないように健側の方を向いていただきます。
照射野の入射点は肩甲上腕関節もしくは烏口突起にします。
撮影時に息を止める合図をし(動く抑制のため)、撮影を行います。

実際の画像
肩正面内旋位撮影の画像

肩正面撮影(関節腔)Ture APの画像

ポジショニングのチェック
・肩峰下腔(青)が広く描出されている。
・肩甲上腕関節間隙(黄)が明瞭に描出されている。
観察
・骨折、脱臼の有無、関節のアライメント:脱臼、亜脱臼による、臼蓋関節下縁の骨折(バンカート 骨
折)。
・肩甲上腕関節の適合性。肩甲下面と上腕骨頭の間隔
・腱板内石灰化の有無、上腕骨腫瘤の有無。
動画で確認したい方はこちらのURLより視聴して頂けますので、ぜひよろしくお願いいたします!

https://www.umu.co/ssu_bplO75e5
以上が肩関節撮影 Part.1となります。
ご覧いただきありがとうございました。