磁気共鳴医学会 〜CT like imaging〜
こんにちは、ラジエーションジャーナル編集部の林です。
磁気共鳴医学会シリーズの第2回目のテーマは、「MRIで撮影するCT like image」についてご紹介します。
近年、CT骨条件に類似した画像をMRI検査で撮像するのが、業界のトレンドとなっています。
当院でも、特に整形外科領域で、頚椎後縦靭帯硬化症(けいついこうじゅうじんたいこっかしょう:ossificatin of the posteriorlongitudinal ligament;OPLL)の評価(図.1参照)や腰椎分離症での骨折線の描出などで活用しています。
以前は、被ばくすることが不可欠であるCT検査を施行し、評価することが必須でありましたが、
この撮像の出現により、CT検査の追加をすることなく診断が可能になる症例が増えてきています。
今年の磁気共鳴医学会大会でも、複数の研究発表や教育講演またシンポジウムで、このCTlikeimageの画像がピックアップされていました。
今回は、関節リウマチ検査について詳しくご紹介したいと思います。
関節リウマチ検査は、MRI検査で手を撮像することで、滑膜炎や骨髄浮腫、骨破壊などの評価を行うことができ、早期の関節リウマチ診断や関節リウマチの進行を、評価することに頻繁に使用されます。
骨破壊の中に骨の一部が、削られたように欠損する”骨びらん”があるが、従来のMRI画像は、
CT画像と比較して骨びらんに対する感度が低い(評価がしずらい)ことが、複数の医師より報告されてきました。
そこでMRI検査によるCTlikeimageを撮像することで、この弱点を克服して、より感度を上げて骨びらんの有無を検査することが可能となりました。
CTlikeimagingは、グラジエントエコー法と呼ばれる撮像で、複数のエコーを同時に信号収集して、その信号を合算させ白黒を反転させる画像のことをいいます。
装置依存が少なく、多くの施設で撮影ができるという大きなメリットがあります。(図.2参照:*Philips社ではFRACTUREと表現される)
当院でもMRIルーチン検査の「プラス1シーケンス」として、このCTlikeimage画像を撮像していますが、関節リウマチの評価にも使用価値が高いことが分かり、明日からでも検査に活かしていきたいと思いました。
普段の日常業務で撮像しているシーケンスにこんな使い方があるんだと発見できることも学会参加の大きなメリットですね。