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磁気共鳴医学会 〜脊髄病変で撮るシーケンス”PD-STIR”〜

こんにちは、ラジエーションジャーナル編集部の林です。

磁気共鳴医学会シリーズ第3回目のテーマは、「脊髄病変で撮るシーケンス:選択的脂肪抑制併用プロトン密度強調画像PD-STIR」についてご紹介します。

学会開催期間は、専用アプリ等で様々な情報を入手することができるのですが、そのアプリで最多のいいね数を獲得したのが、「脊椎病変を対象とした非選択的脂肪抑制併用プロトン密度強調画像の有用性」についての発表です。

非周波数選択的脂肪抑制※でよく使用されるシーケンスが、T2-STIRと呼ばれるものです。
T2-STIRは、名前の通り、T2強調画像のコントラストで撮像されることが多い画像で、それをプロトン密度強調画像;PDWIと呼ばれるコントラストでプログラムを行い、撮像したシーケンスをPD-STIRと言います。

全脊椎 T2強調画像

脊髄内病変の有無評価をMRI検査をする際は、T2強調画像を撮像することが、一般的には、主流ですが、脊髄炎による初期症状や亜急性期(あきゅうせいき)と呼ばれる、ほぼ回復期に近い症状の病変部分は、T2強調画像で撮像した時に、淡く高信号になり病変が不明瞭となってしまうため、我々でも正確な診断が行えないとこがあります。

多発性硬化症などの脊髄疾患では、色々な撮像シーケンスのコントラストが、有用ではあると報告はされているのですが、脊髄内の淡い高信号病変の検出は、PDWIが優れていることとやT2値の長い組織を強調できる非選択脂肪抑制法IR法を、併用することにより脊髄病変の検出能を改善できる可能性がある。というのが今回の発表でした。

発表元の施設では、PD-STIRシーケンスは、従来から使用されているT2強調画像やT2-STIR画像と比較し、脊髄病変の検出に優れていると判断したため、実際に撮影が行われており、多発性硬化症や視神経脊髄炎などの類似疾患の診断に有用であったとの報告がされています。

  T2強調画像        PD-STIR画像

当院でも、よく、脳神経内科から脊髄病変の有無確認で、全脊椎をMRI検査で評価を求められるケースがあります。
こうした貴重な発表を視聴することにより、当院でも実証の可能性などを院内で議論することも可能になるのです。

今後このPD-STIRシーケンスが活躍する日が来るのを心待ちにしたいと思います。