【連載】運動器の超音波検査 Vol.1「超音波検査の基本」
放射線技師として活動しています高石です。
主にMRI検査やエコー検査を担当しています。
放射線を使用しない検査を主に担当している放射線技師です。
私が務めている病院は、整形外科にスポーツ外来と呼ばれる主にスポーツでの外傷を専門で診る科があります。
2010年あたりから運動器を超音波で観察する運動器超音波検査を行ってきました。
最近では、運動器超音波検査は、簡単で非侵襲的に画像検査ができますし、超音波装置の発展で以前までは、観察しにくかった部位も観察できるようになった為、多くの施設でやられています。
運動器超音波検査が、どういうものでどのような画像になるか知らない方もまだたくさんいると思います。
今回は、運動器超音波検査が、どのようなもので運動器超音波画像がどのように見えるかなど症例を含めて連載シリーズでご紹介していきたいと思います。
まずは、超音波の画像の基礎についてご説明します。
超音波検査について
超音波検査は、その名の通り”超音波”を利用した画像検査です。
超音波の反射を白と黒のモノクロで表しています。その反射の度合いは組織の密度に関係してきます。
密度が低いもの(液体に近いもの)は、黒く無エコーと表されます。
それから硬くなるにつれて徐々に白く写り、それぞれ低エコー、等エコー、高エコーという様に表されます。
簡単に言うと液体に近いものは黒く、硬いものほど白くなります。
運動器超音波検査について
運動器超音波検査とは、運動器構成体※と呼ばれる骨格と関節とそれらを結合する組織を観察していく検査になります。
※運動器構成体とは、身体運動に関わる運動器を構成するもので骨・軟骨・筋・腱・靭帯・末梢神経・血管になります。
運動器超音波検査を行う上で大切なことは、運動器構成体の超音波画像を理解することと、運動器の解剖を理解することが必要不可欠です。
そこで、まずは運動器構成体の超音波画像がどのようなものになるのか紹介していきます。
運動器構成体とは
骨は、緻密質と海綿質からなる骨質と髄腔内の骨髄より構成されています。
骨室の周囲には骨を保護するとともに骨の成長や再生の役目がある骨膜があります。
こちらが骨の超音波画像になります。
手指第3指の基節骨の長軸(矢状断)超音波画像です。
骨質は、強い音響インピーダンスを有し、他の組織との音響インピーダンス※の差が大きいため、超音波のほとんどが骨表面・骨質にて反射されます。そのため線状の高エコー像(黄線)として描出されます。
※音響インピーダンスとは、組織固有の抵抗値であり「組織の密度×組織の音速」で表されます。
骨膜
骨膜とは骨の表面を覆う結合組織の膜です。
外層は血管に富み、内層に造骨細胞があって、骨の保護・栄養・成長・再生をつかさどる組織になります。
エコー上では
骨膜は低エコー像として描出されます。
観察のポイント
超音波で骨は表面のみの観察になるので観察のポイントとしては
・線状の高エコー像に不連続がないか
・異常な隆起や陥凹がないか
・骨膜の肥厚がないか
実際の症例
超音波検査で観察できる骨の主な病変は骨折・骨びらん・骨腫です。
左の画像が骨折の超音波画像になります。
矢印にて線状の高エコー像の不連続性と骨膜の不明瞭化が観察できます。
右の画像が骨腫の超音波画像です。
矢印にて線状の高エコー像の隆起が観察できます。
運動器超音波検査における骨の超音波画像の紹介でしたがいかがでしたか?
ポイントに注意して観察すると意外と観察できると思います。
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次回は軟骨についてお話したいと思います。