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肺気胸の画像診断について|大物歌手の発症から考える

みなさん、こんにちは。放射線技師の高石です。

今回は、先日の報道で歌手の長渕剛さんの肺気胸による療養が報じられました。

皆さんはこの報道などご存知かと思いますが、肺気胸についてはいかがでしょうか??

今回は、この肺気胸についてご紹介していきたいと思います。

肺気胸とは?

肺気胸は、肺が何らかの原因で一部がやぶれてしまい、肺から空気が漏れて肺がへこみ、呼吸困難や胸痛、動悸などの症状を引き起こす疾患のことです。

肺気胸になると、鎖骨周囲・背部の痛み、息苦しさ、少しの動作で息切れしたり、階段を1~2段登るのもきつく感じたり体のだるさを感じたりします。

場合によっては生命の危機的状態になることもあります。
長渕剛さんは、現在では回復に向かっており、公式インスタグラムにて「回復に向かってるから大丈夫!早く治すよ!」と、コメントを発表されていますね。

このコメントで多くの長渕さんのファンも安堵したことでしょう。

さて、この肺気胸ですが、多くの方は、動悸と息切れや体のだるさの訴えで病院を受診します。

動悸や息切れの症状より心臓に何か所見があるのではないか?と考えられて、よく心電図検査が行われますが、心電図ではこの気胸はわかりません。

その後、さらに詳しい検査として、心臓の大きさや肺炎の有無の確認のため、胸部レントゲン検査を行います。その際、偶発的に肺気胸と判明することがあります。

中には胸部レントゲン検査でもわからないことがあるため、その場合は、胸部CT検査を行います。気胸の程度によっては、生命の危機的状態になることもあるため、私が勤める病院では、胸部レントゲン検査や胸部CT検査で気胸が疑われる場合は、すぐに主治医へSTAT画像報告※を行うようにしています。

※STAT画像報告:画像検査における重要な検査結果の報告をすること。Joint Commission International病院国際認定(JCI)の提言に端を発している。すなわち、撮像した画像を第一に見ることが出来る診療放射線技師が重要な画像所見に気が付いた場合、それを直ちに報告することで患者のリスクを減らすことが出来るというものです。

このSTAT画像報告は、各施設ごとに設定は異なると思います。

今回は、私の勤めている病院を例にしてご説明したいと思います。

当院には、読影医が少なく、どうしても胸部レントゲンの画像を読影医や主治医がみる機会が遅くなるため、肺気胸はSTAT画像報告の対象となっています。

肺気胸を胸部レントゲン画像で判断する場合、よく観察しないとわからない場合もあります。

先日、私も肺気胸の患者さんの撮影を行ったのですが、レントゲン検査上ではなかなかわかりにくい肺気胸であったため、指摘できずSTAT画像報告することができませんでした。

幸いにも、胸部CT撮影を追加撮影することになり、その患者さんは肺気胸を指摘することができました。

こちらがその時の画像になります。

右気胸の胸部X線画像

胸部レントゲン撮影の件数は、ほとんどの施設で上位に入るほど多いレントゲン撮影だと思います。

今回の検査を踏まえて、一般的に、レントゲン検査は、1人にかける時間が少ないことが多く、撮影のポジショニングをしながら症状を聞き、撮影を行い画像を見返すといった流れを自分の中で決めて撮影を行っていくといいことを改めて感じました。

もちろん検査を行なっていて、肺気胸かもしれないけど自信がないということもあるかもしれません。
そういった場合は、「肺気胸の可能性があるのでレントゲン画像を早めにご確認ください。」と言ったように患者さんの胸部レントゲン画像を優先的に確認してもらうように主治医へ連絡し、画像を早めにみて判断してもらうように促すこともいいかもしれません。

最近では、AI技術の発展により、コンピュータ支援検出ソフト(CAD)で胸部レントゲン画像を解析し、気胸の有無をスコア化し画像診断業務を支援するソフトも出ています。

活用するとSTAT画像報告もしやすくなるかもしれません。

しかしながら、肺気胸は、生命の危機的状態になることもあります。

場合によってはSTAT画像報告が望まれる症例でもあると思います。

施設ごとにSTAT画像報告の設定があると思いますが、どのようにしてSTAT画像報告をするかも決めておくと報告しやすいかもしれません。

長渕さんが回復に向かっているということで、早く元気になって戻ってきていただきまた素晴らしい音楽で人々に感動を与えてくれる日を楽しみにしたいですね。

次回は、肺気胸の画像診断について詳しく解説いたしますので、お楽しみに!
https://journal.ysreading.co.jp/12789