【連載】医療Ai(死亡時画像診断)について Vol.4「法医学とAi」
このコラムでは、医療Ai(死亡画像診断)をテーマに、皆さんに分かりやすように、尚且つ専門性を維持しながらお伝えしていきたいと思います。
Aiについて現状と課題、将来への展望を把握できるように、Aiを推進していくことで、社会に貢献できればと思います。
皆さまは「Ai」と聞くとIT・テクノロジーのイメージを多くの方がお持ちになると思います。
医療現場では、Aiを死亡時画像診断と言います。
連載シリーズ第4回目はこの「法医学とAi」について少し深く解説していきたいと思います。
法医学とAi
法医学におけるAiの役割は、死因究明や犯罪捜査を効率的かつ正確に行うことにあります。Aiは画像診断技術を用いて遺体の内部構造や病変を非侵襲的に調査します。これにより、外傷や病気が引き起こした変化を検出し、死因を特定することが可能です。
犯罪捜査においては、Aiは死因や暴力の痕跡、武器の特定などに貢献します。また、身元不明の遺体に対しても、特徴的な身体構造や手術痕などを明らかにすることで、遺体の特定に役立ちます。検死と比較して、Aiの利点はいくつかあります。遺体に触れることなく調査が可能であるため、感染症のリスクが低減されます。検死による遺体の損傷がなく、遺族の感情や文化的・宗教的観点にも配慮できます。画像データは保存・共有が容易であり、複数の専門家が協力して診断や解析を行うことができます。
Aiは検死を完全に置き換えるものではなく、画像診断だけでは確認できない微細な病変や、化学物質の存在(例えば薬物や毒物)などは、病理検査や化学検査などを必要とします。Aiは従来の検死と補完的な関係にあり、状況に応じて適切な方法が選択されるべきです。
次回は、Aiの倫理的問題について触れていきたいと思います。