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野球肘について|3つの種類と画像検査方法

放射線技師として活動している高石です。

昨日、メジャーリーグ オールスターゲームでホームランを放った大谷選手。さすが世界のオオタニです。素晴らしい活躍をいつもニュースで楽しみにみています。しかし、大谷翔平選手は野球肘というものに悩まされていました。そのため故障者リストに2回入ったのですが、2度目は手術を受けて復活し、WBCで日本を優勝へ導いてくれました。WBCでの活躍は野球ファンのみならず日本中の方たちの記憶に残っていると思います。

今回はこの大谷選手も悩ませた野球肘についてお話したいと思います。

野球肘とは?

野球肘とは、野球の投球動作により肘を痛めるスポーツ障害の総称です。
野球の投球は、肩や肘など身体の同じ部分に同じ力がかかり続ける動作であり、他のスポーツと比べて特に肘に負担がかかり障害を起こします。
野球肘の中には内側型・外側型・後方型の3種類があります。

野球肘内側型

内側側副靭帯損傷や内側上顆骨端症・肘内側側副靭帯性裂離骨折

野球肘外側型

外側離断性骨軟骨炎

野球肘後方型

肘頭疲労骨折や肘頭骨端線離開実はこの野球肘は子供に多く、10〜16歳に多いとされています。
なぜ子供に多いとされているかというと、子供の骨は、大人に比べ柔らかく脆弱なため慢性的な外力ストレスにより損傷しやすいと言われています。
野球肘により肘の痛みをかばうようになり投球フォームが崩れ、いつもの調子が出なかったり、肘の痛みをかばうことで今度は肩の痛みが出現することがあります。また、子供の場合は骨の成長をつかさどる骨端線という軟骨組織が骨の頭側と足側に存在します。この骨端線が損傷してしまうと骨の成長に影響をあたえる場合があります。ですので早期治療が望まれます。

画像検査

この野球肘を画像検査する場合は、レントゲン・超音波検査・CT・MRIが選択されます。
子供の場合は、被曝の影響を考慮し、CT以外が選択されることが多いです。


レントゲンでは、剥離した骨片の有無
超音波検査では、側副靭帯や軟骨・骨表の評価
CTでは、剥離した骨片の有無と剥離骨片がある場合は剥離骨片の評価
MRIでは、運動器や骨・軟骨・剥離骨片


などの評価を行います。

野球肘健診

野球肘の中には痛みが少なく、発症しているのに気づかない方もいます。そのような方は発見が遅れてしまい治療に時間がかかることがあります。(中にはサッカー部の子供が症状はないのですが、野球肘になっていた症例を経験したことがあります。)
このようなことがないように、最近では野球肘検診といったものを行う団体も出てきています。

※現在、甲子園に出場する投手は肘のメディカルチェックが義務づけられ、レントゲン検査などで精査し、障害の程度によっては出場禁止になる場合もあります。肘の痛みがないかの質問や超音波検査で肘の軟骨や靭帯に異常がないかを調べてくれます。場合によっては投球フォームの改善の指導を行ってくれます。
もちろん肘に違和感がある方や気になる方は整形外科で調べてもらうことができます。
野球をやっている方やお子さんが野球をやられていて、肘の痛みの訴えや違和感がある方は一度病院で診てもらうことをおすすめします。

近年、野球少年が減ってきている中、WBCでの日本の活躍や大谷選手の活躍により今後野球をする子供たちが増加するかもしれません。

お子さんが野球をやられているもしくは今後やるならば、野球肘に注意して野球をやられてください。

次回より、実際の画像をもとに野球肘について詳しく解説いたします。