【連載】運動器の超音波検査 Vol.3「筋をどう観察するか」
みなさん、こんにちは。放射線技師の高石です。
このコラムでは運動器超音波検査がどのようなもので運動器超音波画像がどのように見えるかなど症例を含めて紹介しているコラムです。
前回は軟骨の超音波画像についてお話しました。Vol.2「軟骨」観察のポイントの記事はこちらをクリック!
今回の連載シリーズ3弾では、筋の超音波画像についてお話します。
筋の超音波画像
筋肉とは、からだのさまざまな器官を動かす働きをしています。 筋肉は、たくさんの筋繊維という繊維でできています。 体中には640個の筋肉があり、その筋肉が206個の骨にくっつき、伸びたり縮んだりすることで体は動きます。
筋肉を構成する最小単位として筋線維(筋細胞)があり、その集合体として筋束、筋束の集合体で筋を形成しています。
筋束は筋周膜に、筋は筋外膜とよばれる筋膜に包まれています。
エコー上では筋線維は低エコーにうつりますので、筋束・筋は低エコーになります。筋周膜と筋外膜は高エコーに描出されますので筋束の低エコーの走行に一致した筋周膜の線状高エコー像が観察されます。
観察のポイント
左右・健側との比較や筋線維束の連続性や配列を観察していくのがポイントとなります。
実際の症例
筋の主な評価として筋束や筋周膜の不連続性や配列の乱れを観察していくことになります。
この画像は筋挫傷の画像です。
※筋挫傷:外力が加わって筋肉が損傷してしまうこと。強い外力を受けると、筋肉自体や血管を損傷し、痛みや内出血を生じること。
患側で矢印のところで、筋線維束や筋周膜の不連続性や配列の乱れを認めます。
観察するポイントである左右・健側との比較や筋線維束の連続性や配列を観察するほか、損傷の場合は血腫を形成することがあります。血腫は初期の段階ではこのように筋配列の乱れと一致して低エコー域も同時に観察できるので血腫の有無も観察すると良いかと思います。この時注意したいことは、血腫形成部位は時間経過で治癒過程の肉芽組織となります。損傷からの時間経過次第では血腫と思われる低エコーは観察できず、肉芽組織の等エコー像が観察されることがありますので、損傷時からどれくらい時間が経過しているのかも注意が必要です。
以上、筋の超音波画像の紹介でしたがいかがでしたか?
観察するときはポイントに注意して観察してみてください。
次回は腱の超音波画像についてお話したいと思います。