「突き指」の画像診断

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記事の監修医師

中山 善晴

【略歴】
熊本大学医学部卒業

【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授

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放射線技師として活動している高石です。

以前、私がキャッチボール中につきゆびしたエピソードをお話しましたが、今回は「つきゆび」の画像診断についてご紹介します。

以前の「つきゆび」記事はこちらをクリック!


マレット指について


突き指という外傷の中にはいろいろな病態が隠れています。

マレット指もその一つで、突き指でなる病態の中でも多くを占めています。

今回はマレット指についてお話します。

マレット指(槌指)

指の第1関節(DIP関節)が木槌のように曲がった状態をいいます。

DIPの末節骨に骨折が生じて起こるものと末節骨につながる伸筋腱が伸びるもしくは断裂することによって生じるものがあります。DIPが曲がったままで痛みや腫れがあり、自動(自分で動かす)伸展は不能で自分で伸ばそうと思っても伸びません。
しかし、他動(他人に動かしてもらう)伸展は可能で手伝って伸ばすと伸びます。

マレット指(槌指)は骨性と腱性の2種類あります。

①DIPの関節内の骨折が生じ、伸筋腱がついている骨(末節骨)が関節内骨折を起こしてずれた状態になったものを、骨性槌指(骨性マレット指)
②指を伸ばす伸筋腱(末節骨につながる)が切れたために生じるものを、腱性槌指(腱性マレット指)と言います。

骨性槌指(こつせいつちゆび)・骨性マレット指

手のレントゲン画像です。(右画像:指正面像、左画像:指側面像)


骨性槌指は、伸筋腱が末節骨に付着している部分で裂離骨折を起こすことにより、末節の関節が伸ばせなくなる状態です。正面像ではわかりにくいのですが、側面像でに骨折線があるのがわかります。

マレット指の診断は、正面画像や斜位画像では判断しにくいのでDIP関節がきれいにでる様に真側面から撮影することが好ましいです。

治療法としては、骨折ですから骨接合する手術が必要です(そのままにしておくと変形する可能性があります)。ピンで固定して、骨癒合が完成したらピンを抜きます。

腱性槌指(けんせいつちゆび)・腱性マレット指

腱性槌指は、伸筋腱が断裂してしまい、末節骨が伸ばせないマレットです。

上の画像は超音波のDIP関節の長軸像です。画面の右側が指先で左側が中枢です。本来ならに伸筋腱があるはずですが、断裂して血腫を認めます。

青線が伸筋腱の断端です。黄線が末節骨の伸筋腱付着部、白線が中節骨遠位骨頭です。黄線と白線の骨の間がDIP関節です。)

腱性槌指の場合、腱の評価が必要ですのでMRIやエコーなど軟部組織の評価ができるモダリティでの評価が必要になってきます。

私が勤める病院では最近、超音波検査の画像分解能が高いため、超音波検査での評価(断裂しているかしていないか、断裂している場合は完全断裂か部分断裂か、部分断裂なら残存腱はどのくらいかなど)を行っています。

腱性槌指の治療法は、レントゲンで骨折がないことを確認した後、指の末節をまっすぐな位置で固定することで治療されます。

治療しない、または途中で固定をやめてしまうと、腱は伸びたまま治ってしまい末節の関節をしっかり伸ばすことができないままになりますので注意が必要です。

いかがでしたか。

マレット指は突き指によりなる病態で症状が軽い場合でも、放置しておくと慢性的な問題や後遺症につながる可能性があります。

突き指をしたら、早めに医師の診察を受け早期発見・早期治療することが大切です。

突き指は、その名の通り、突然やってくるものです。しかし、適切な対応と治療によって、その影響を最小限に抑えることができます。