読影とは? 職歴25年以上の放射線診断専門医が伝えたい基本、課題、遠隔読影
記事の監修医師
【略歴】
熊本大学医学部卒業
【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授
画像診断は、医療の中でも特に特殊で高度な領域です。
この分野は、CTやMRIなどの画像検査技術の進歩に伴い、絶えず進化を続けています。一般の臨床医が日常の診療を行いながら、こうした画像診断技術の進化にも対応するのは難しいため、画像診断を専門とする医師の存在が必要不可欠です。それが放射線診断医の役割です。
放射線診断専門医は、医療画像を精密に読み解き、見落としを防ぎ、正確な診断を行い、患者に適切な治療方針を提案する責任を担っています。この専門性は、現代医療において非常に重要であり、欠かすことのできない分野となっています。
読影とは?どんなプロセスを指すのか
読影とは、CTやMRIなどの医療画像をもとに病気を診断し、適切な治療法を提案するプロセスを指します。この作業では、画像を詳細に解析し、病状を把握して診断や治療計画を立てます。医師であれば誰でも診断することは可能ですが、現代の医療では専門分野が細分化されており、臨床医が自ら画像を解析して診断を行うのが難しい場合もあります。
そこで、画像診断を専門とする放射線診断専門医の役割が重要となります。専門医は、画像を基に病気を診断し、治療計画の助言を行うことで、医療チームを支援します。専門医の意見を活用することで、診断の精度が向上し、質の高い治療の実現につながります。
読影する対象となるもの|どのような画像診断があるか?
画像診断の名称 | 概要 |
X線検査 | いわゆる「レントゲン写真」。骨などの状態を撮影 |
CT検査 | X線を使用して体内の断層画像を撮影します。臓器や骨の構造を詳しく確認可能。 |
MRI検査 | 強い磁場と電波を使って体内の詳細な画像を作成します。脳や脊髄、軟部組織の診断に有用。 |
RI検査 | 放射性物質を体内に投与して、特定の臓器や腫瘍の機能を調べる核医学検査。 |
胃部RF検査 | バリウムなどの造影剤を使い、リアルタイムで胃の状態や動きをX線で観察。 |
超音波検査 | 音波を用いて臓器や血管の状態を画像化。非侵襲的で妊婦検診や内臓の評価 |
眼底検査 | 特殊な機器で眼の奥(網膜や血管)を観察する検査。糖尿病や緑内障などの診断に利用。 |
仮想内視鏡検査 | CT画像を使ってコンピュータ上で体内を仮想的に観察する技術。通常の内視鏡に比べ負担が少ない。 |
読影の「見落とし」防ぐための方法は?
画像診断における見落としは、重大な結果を招く可能性があります。人間である以上、誰もがミスをすることは避けられず、それ自体を責めることはできません。しかし、見落とされた側にとっては、健康に直結する問題であり、最悪の場合には命に関わる事態となることがあります。そのため、見落としを可能な限り減らすことが、読影医に求められる重要な責務です。
とはいえ、見落としを防ぐ責任を読影医だけに負わせるのには限界があります。見落としは一人の責任ではなく、チーム全体で防ぐ仕組みを構築することが必要です。具体的には、複数の読影医が診断を確認し合う体制が重要です。たとえば、一次読影医に加えて二次読影医がバックアップする体制を整えることが有効です。
さらに、読影医だけでなく、検査画像の振り分けやレポートの校正を担当するスタッフも画像を確認し、気づいた点を二次読影医に伝えて確認してもらうことで、三重のチェック体制を実現できます。このような工夫により、見落としを最小限に抑え、より質の高い医療を提供することが可能となります。
遠隔画像診断とは?サービス内容やメリットについて
遠隔画像診断には、現代医療を支える重要なメリットが3つあります。
- 見落としの予防
複数の読影医で画像を確認する体制を構築することで、見落としのリスクを大幅に減らすことが可能です。特に、一次読影医と二次読影医によるダブルチェック体制は、診断精度の向上に寄与し、患者の安全を確保します。 - 専門性の高い医師による読影
地域を問わず、放射線診断の専門医が画像を読影することができます。専門医の知識と経験を最大限に活用することで、より正確な診断が可能となり、適切な治療計画の立案に役立ちます。 - 医師の働き方改革への貢献
読影業務を効率的に分担することで、医師の負担軽減や働き方改革にもつながります。特に過疎地や医師不足地域でも、高品質な診断サービスを提供できる点が大きな利点です。
遠隔画像診断は患者に安全で質の高い医療を提供するだけでなく、医療現場全体の効率化と持続可能な医療体制の構築に寄与します。
まとめ
読影とは、医療検査画像をもとに患者の状態を把握し、適切な診断と治療につなげる重要な作業です。現在の医療機器は非常に高性能で、短時間で多くの検査画像を生成できますが、画像の増加に伴い、見落としのリスクも高まります。これを防ぐには、病院内での体制整備が欠かせませんが、限られた医療資源では対応に限界があります。そのため、外部に画像診断を依頼する仕組みが求められます。
ワイズ・リーディングでは、質の高い画像診断を提供することを重視しています。医師の経験や専門分野に応じて業務を分担し、さらにレポート文章を校正することで、わかりやすく誤解のないレポートを作成しています。また、読影医が見逃した所見を発見し、ダブルチェック体制を構築することで診断の精度を向上させています。これらの取り組みは手間がかかりますが、契約機関から高い信頼を得ています。
私たちの仕事は、人々の健康や病気の治療に直結するものであり、誇りを持って日々取り組んでいます。