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記事の監修医師

中山 善晴

【略歴】
熊本大学医学部卒業

【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授

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放射線技師として活動している高石です。

画像レッスンとはあらゆる画像をみながら、見落としてしまいそうな症例や画像からみられる診断についてを学んでいただく放射線技師・医師やそれを目指す人たちへのまなびの「場」です。

こちらの症例をご覧ください。

症例

30代女性
膝関節痛、膝崩れがありMRI検査となりました。
その時のMRI画像です。

左:今回の症例画像 右:正常の方の同じレベルのT2FFE矢状断

どこに異常があるのか指摘できますでしょうか?

外側半月板の後節部分に線状高信号影を認めます。


下関節面に達しており、外側半月板の断裂になります。

半月板」とは

脛骨の関節面を覆うような繊維軟骨で、実際には半月というより三日月型になっています。
内側・外側にあり、それぞれ大腿骨の内顆・外顆に接してクッションの役割を果たしています。
半月版損傷とは荷重負荷に耐えれなくなり半月版が損傷した状態です。
足を過労するスポーツの選手や高齢で半月板の柔軟性がなくなった方に多いと言われています。

半月板断裂の分類

半月板断裂には損傷の形によって分類されています。
縦断裂、横断裂・水平断裂・バケツ柄断裂・フラップ状断裂があります。

縦断裂

半月板の形状に沿った方向に亀裂が走るような損傷の形です。
大きく避けるとバケツ柄断裂へ進んでいく可能性があります。
半月板縫合術のよい適応となります。

横断裂

半月板を分断するように亀裂が入るような形の損傷です。

水平断裂

半月板を2枚おろしにしたような、水平方向の断裂です。
長年使っているうちにおこる損傷の方が多いです。
通常あまり深刻な症状はでないことが多いです。

バケツ柄断裂

辺縁が大きくさけ、避けた部分がちょうどバケツの柄のような形に見えることから呼ばれる断裂のしかたです。
「縦断裂」がひどくなったようなもので、”柄”の部分が非常に不安定になるため、「ロッキング」とよばれるような、膝を伸ばした状態から曲げられない、逆に曲げた状態から伸ばせない、という症状がでます。
可能なら元の位置に戻して縫合します。フラップ状断裂
斜めに避けた半月板の断端がぶらぶらしている状態です。
関節の中にはまり込んで急激な痛みを生じることがあります。
小さい断裂の場合には切除を。大きい断裂の場合は縫合の適応となります。

この半月板断裂ですが、「ラジエーションハウス」というドラマで診療放射線技師の役を演じた俳優の窪田さんが受傷されました。受傷時にMRI検査を行い、その時の検査を行った放射線技師さんと会話をしたらしいのですが、その時の放射線技師さんを参考にドラマの役を演じられたようです。窪田さんはMRI検査で幸いにも手術せずに治療が行えると判断されたようで、安静にし治療されたようです。

半月板のMRI画像

半月板の評価のMRIを撮影する場合、繊維質である半月板が低信号に描出され、損傷部位・浮腫部分が高信号になるT2FFEを撮影したり、

(右:T2FFE冠状断↑部にて損傷と思われる高信号あり、左:T2FFE矢状断↑部にて損傷と思われる高信号あり)
もしくは半月板損傷の仕方や度合いを細かく評価するために3Dで脂肪抑制併用のプロトン密度強調画像を撮影すると良いかと思います。

半月板レベルでの脂肪抑制併用のプロトン密度強調画像の横断像再構成画像。
部位にて前節から中節にかけて高信号があり、水平断裂があることがわかります。

以上が半月板断裂についてのお話でした。

いかがでしたか?

このように半月板損傷は損傷の仕方や度合いで治療・手術内容が変わってきます。
半月板を非侵襲的に評価できるものは画像検査のMRIになります。
治療決定のためにも半月板損傷の場合は半月板を細かく撮影することが望まれます。