ヒートショックと画像診断

みなさん、こんにちは。放射線技師の高石です。
ここ数日、数年に一度といわれる強い寒波の影響で、日本各地で大雪が続いていますね。皆さんご注意ください。
早速ですが、皆さんは「ヒートショック」をご存じでしょうか?
この時期になるとニュースで良く取り上げられているヒートショックですが、皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
今回は、このヒートショックについてご紹介していきたいと思います。
ヒートショックとは?
まず、ヒートショックとは何かというと「急激な温度変化により血圧が急上昇または急下降する現象」のことです。特に、暖かい部屋から寒い場所へ移動する際や、寒い冬の季節にお風呂に入る時に起こりやすいといわれており、10℃以上の温度差があると生じやすくなるといわれます。
急激な血圧の変化により、一時的ではありますが、脳の血流が減少するので、めまいや立ちくらみ、一過性の意識障害などが生じ、この意識障害が浴槽内で起こると、溺れて死亡する事故につながることもあり、浴室内で生じる事故の中には、ヒートショックが関係しているものも多いといわれています。
その他にも、このヒートショックにより血圧の変化がおこると血管がこの血圧の変動についていけずに虚血性心臓疾患、脳卒中などの深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。
ヒートショックのメカニズム
1. 温度変化:寒い外から暖かい室内に入る、またはその逆の場合、体が急激な温度差に晒されます。
2. 血圧の変動:体が温度変化に適応しようとすると、血管が急激に収縮または拡張します。これが血圧の急変を引き起こし、心臓や脳に負担がかかります。
画像診断の役割
残念ながらヒートショック自体を画像検査でとらえることはできません。
しかし、ヒートショックが原因で起こる虚血性心臓疾患や脳出血・脳梗塞の有無は画像診断が用いられます。
画像診断は、ヒートショックによる健康問題を早期に発見し、適切な治療を行うための重要な手段です。
例えば、虚血性心臓疾患や脳出血・脳梗塞の疑いがある場合、以下のような画像診断が用いられます。
CT検査:脳出血や虚血性心臓疾患の有無を確認するために使用されます。
MRI検査:脳の詳細な画像を提供し、脳梗塞の位置や範囲を把握するために役立ちます。
また、ヒートショックを起こしやすいといわれる動脈硬化(血管が硬く脆くなる状態)はCTやMRIで指摘することができます。

矢印の部分の冠動脈起始部に複数の高吸収病変を認める。

矢印の部分で心臓を栄養する冠動脈が狭窄していることがわかる。

拡散強調画像にて矢印の白い部分が拡散制限があることがわかる。
ヒートショックの予防
ヒートショックを予防するためには、以下の対策が効果的です。
①暖房の使用:寒い場所への移動前に部屋を暖めることで、急激な温度変化を防ぎます。
②浴室の暖房:お風呂に入る前に浴室を温めておくことが重要です。
③ゆっくりとした入浴:急に熱いお湯に入るのではなく、ゆっくりと温まることで血圧の急変を避けます。
特に、基礎疾患がある方がヒートショックになりやすいといわれており中でも動脈硬化が挙げられます。動脈硬化は血管が硬く脆くなる状態ですので血管が脆いと、気温差による血圧の変動に耐えきれずに、さまざまな不調があらわれやすくなります。
ヒートショックは予防と早期発見が鍵です。画像診断技術の進歩により、ヒートショックによる健康問題をヒートショックを起こしやすい人がわかったり、ヒートショックを起こしても迅速に診断し、適切な治療を行うことが可能になりました。日常生活においても温度管理を徹底し、健康を守るための意識を高めることが大切です。