第9回ウェブラジエーション勉強会 番外編 ‐ウェブラジでお伝えできなかった3点‐

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記事の監修医師

中山 善晴

【略歴】
熊本大学医学部卒業

【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授

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こんにちは。ラジエーションジャーナル編集部、診療放射線技師の林です。

先日2月5日(水)に開催させていただいたウェブラジエーション勉強会(以下ウェブラジ)では約200名とたくさんの方にご参加いただきました、ありがとうございました。

時間の都合上、お伝えできなかった整形外科医との確認点3つをこちらの記事でご紹介致します。

① MRI横断像は第2仙椎(S2)レベルまで撮像してほしい

S1神経の走行をアキシャル画像で確認したかったけど撮影範囲に入っていないケースが数件あるとのご指摘を整形外科医からいただきました。

当院では2Dのアキシャルと3D冠状断収集のMPRアキシャルと二つのアキシャル画像を提供しています。整形外科医からの要望後、後者の画像でしっかりS2レベルまでしっかり含めた撮像(MPR作成)を心掛けるようになりました。また放射線科医より、T2強調画像<コヒーレント型GREシーケンスの方が神経の特定をしやすいとのことで3D冠状断収集の画像はいわゆるbalanced(True FISP, Balanced FFE, FIESTA等)シーケンスを採用しています。下記に画像を掲載しますので両者の違いをご覧ください。実際の臨床でbalanced画像は、腰部神経の走行確認とSE系2Dシーケンスでは評価が難しい側方ヘルニアの描出能が高くとても重宝しています。

② 側湾症患者のMRIアキシャル像のプランニングについて

下記画像のように脊椎が側湾している方のアキシャル像の位置合わせについて、上下椎体の傾きに合わせるか、または脊髄の走行に合わせるかで技師の中で意見が分かれておりました。その点を整形外科医に伺ったところ、脊椎の傾きに合わせる画像の切り方で良いとの返事でした。当院では術前検査に脊椎のCTも撮りますが、その際も脊椎の傾きに合わせてMPR像を作成しています。

③ CT画像:軟部条件矢状断・横断像と3D画像について

CT検査時、骨条件での画像を提供するのが一般的ですが、軟部条件での画像は診断に有用なケースがあるのでは?という意見がありました。整形外科医と討論した結果、明らかな椎間板ヘルニアが存在している場合や硬膜外血腫などCT値が上昇する病変を認める場合は有用かもしれないがルーチンでは不要。MPR作成時に上記の所見を認めたら軟部条件の矢状断や横断像を作って送ってほしいとのことでした。また、脊椎CT検査の際、3D画像は横回転・縦回転は必要?それとも両方不要か?との疑問があり聞いてみると横回転をルーチンとして送ってほしいとの回答でした。横突起骨折や棘突起骨折がある際は、縦回転の画像も診断に有用なのでその際は作成し画像を提供してほしいとのことです。ちなみに今回ウェブラジで取り上げた脊椎分離症は、3D画像での病変部の観察は困難のようです。

今回はウェブラジでお伝えできなかった整形外科医からの要望、そして撮影する我々技師の疑問・回答を記事にしてみました。

今回の記載内容は一(いち)整形外科医、一(いち)放射線科医の意見です。なので皆さまがお勤めの施設の医師によってどのような画像を求めているか違ってくると考えます。

今回も読んでいただきありがとうございました。

また、次回の第10回ウェブラジエーション勉強会へのご参加もお持ちしております。