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記事の監修医師

中山 善晴

【略歴】
熊本大学医学部卒業

【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授

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放射線技師として活動している高石です。

画像レッスンとはあらゆる画像をみながら、見落としてしまいそうな症例や画像からみられる診断についてを学んでいただく放射線技師・医師やそれを目指す人たちへのまなびの「場」です。

前回、肋骨骨折についてお話しました。

前回の記事はこちらをクリック!

レントゲンでは、画像処理で観察しやすくなり、CTの3D作成では、内側に骨折がある場合は肋骨を左右半分にし、内側から観察するとわかりやすいとお話しました。
今回は前回とはちょっと違う肋骨骨折を見ていきたいと思います。

まず、こちらの症例をご覧ください。

症例①

50代 男性
バスケットボールの最中、相手と接触した際に前のめりになり自分の腸骨と左前胸部が衝突。その後より左胸部痛が持続。翌日痛みのため体動困難になり救急搬送され精密検査となりました。
その時の胸部CT画像です。

胸部CT、骨の3D画像

どこが異常か指摘できますでしょうか?

なかなか指摘するのが難しいと思います。

では、この3Dの画像を軟部組織が見えるように階調を調節してみます。

左の画像が骨の3D画像で、右の画像が軟部組織に階調を合わせた3D画像です。

どうでしょうか?何か指摘できますでしょうか?

軟部組織に階調を合わせた3D画像をRAOとLAOで観察した画像です。

どうでしょうか。

矢印の部位にGapがあるのがわかります。

2Dの画像で左右を比較してみますとの部位にてGapがあるように観察できます。

これは肋軟骨骨折といわれるもので、肋骨骨折とは違い肋軟骨の骨折になります。
肋骨と比べて、骨条件の画像で観察するよりも軟部条件の画像の方が観察しやすく、通常の骨の3D画像では軟骨が観察できないので軟部まで観察できるように調節して観察する必要があります。
オーダーでは肋骨骨折の有無の精査として検査が行われることが多いと思いますが、痛い部位を聞いたりして、肋軟骨の骨折も視野に入れて検査を行い画像作成をすることが望まれます。

では、次の症例はいかがでしょうか?

症例②

30代 男性 

旅行先で転倒し、右前胸部を強打。
帰省後痛みが続くため近くの病院を受診。レントゲンとCT検査となりましたが、明らかな肋骨骨折や肋軟骨の骨折は認めないといわれたが、痛みが続くため当院を受診されました。
他院の画像をみても確かに明らかな骨折は指摘できなかったため、周囲の組織の損傷などがあるのではないかということで超音波検査となりました。

こちらがその時の超音波検査画像です。

両画像ともに右肋骨の長軸に出した画像です。

両画像ともに右肋骨の長軸に出した画像です。

何か所見は指摘できますか?

これは微小な肋骨骨折になります。

矢印の部位にて骨のと思われる高エコー像のGapがあることがわかります。またその下に後方陰影があります。この後方陰影は骨のGapによる影響で出現したものと思われます。
CTやレントゲンでは、転位が少ないこのような微小骨折の場合は指摘することができませんが、超音波検査では面内分解能(画像の解像度)を良くして観察することができるので指摘することが可能です。ただし客観的評価ができないので注意が必要です。

この方は経過観察となり、その後の超音波画像がこちらになります。

前回と比較すると

左の画像が受傷時、右の画像が1か月後の右肋骨の長軸画像です。

矢印の部位が骨折部位ですが、右の画像を診ると骨折部位の周囲に仮骨が形成されているのがわかります(線状高エコーの隆起)。仮骨形成され、治療過程にあると判断できます。

以上になります。いかがだったでしょうか?

肋骨骨折ですが、肋軟骨骨折の場合は骨条件の画像よりも軟部条件の方が観察しやすく、微小骨折の場合はCTやレントゲンでは描出できなく、解像度が高い超音波検査で描出できます。

CTやレントゲンで肋骨骨折がない場合はこれらのことをふまえて観察すると良いかもしれません。