新たなAI関連ニュース「医用3D画像の異常検出機能」

ラジエーションジャーナル編集部、診療放射線技師の林です。
様々な分野で大量の教師データを用いたディープラーニング機能が採用されている中、今回、画像診断分野に新たなAI開発のニュースが取り上げられました。大阪の医療機関向けソフトウェア会社である株式会社エクセル・クリエイツは今年1月に医用の3D画像を用いた異常所見の自動検出法の特許を出願したとのことです。3D画像を用いた自動異常検出機能は日本初で、死後画像を解析するプロジェクトで鹿児島大学と共同実施を行っています。
今回はこちらのニュースを読んで私なりに感じたこと、考えたことを記事にしてみたいと思います。
①オートプシー・イメージング(=死亡時画像診断)をできる放射線科医が少ない現状の打破
生きている人体と亡くなった人体の読影には大きな違いがたくさん存在します。なので、放射線科医だからと言って、死亡時画像診断に対応できるとも限りません。この画像診断には、読影に関する多くの経験と専門性の高い知識が必要とされています。そこにこのディープラーニングを用いた画像診断機能が参入することで、普段判断できない医師でも死亡時画像診断の対応ができるようになったり、また法医学分野も含め普段死亡時画像診断に取り組んでいる放射線科医にもこちらの機能で負担が軽減され色々な科の医師に大きな貢献があると考えられます。
②画像所見の見落とし防止への期待
CT検査では、短時間で広い範囲の画像検査が可能となってきた現在、放射線科医はその分読影しなければならない範囲がとても広くなっています。またMRIでも体幹部のDWI(DWIBS;ドゥイブス)検査で全身の悪性腫瘍などの病変を満遍なくチェックしなければなりません。このような何百枚・何千枚の画像を隅々まで診て所見を書いている放射線科医の見落としを防止してくれる機能に一躍買ってくれる存在になる可能性があります。

③放射線科医の仕事スピードが早くなる
外来では画像検査後、診察をされる医師が多くいます。放射線科医のレポートの完成を待って診察を始める医師もしばしば。なので読影のスピードも求められることも多いのですが、どの施設でも放射線科医はたくさんの画像検査を一人または少人数で読影している過酷な現状があります。そこでこのディープラーニングを用いた画像診断機能で自動的に画像所見の記載ができると、画像診断レポートがより早く確定することが予想できます。また放射線科医のレポート待ちで診察を待っている患者さんの負担も軽減できると考えます。

④自動で検出される異常所見が本当か、確認が必要
日常でAI機能を用いた文章を制作する際、その文章の内容が本当にあっているのか確認が必要ですよね。それと同じで、AIが指摘してきた異常所見が本当なのかを判断する能力は必ず必要です。我々の取り扱う画像検査にはアーチファクトという診断を邪魔する陰影が数多く存在します。有意所見なのか?アーチファクトなのか?この判断は撮影する患者、または撮影機器の持つ機能などの環境に大きく依存します。この判断を誤ってしまうと、誤診に繋がり大きな医療事故に繋がる可能性がありますので、しっかり注意して対応していかなけらばなりません。

いかがでしたでしょうか。
放射線技師業界ではここ数年、教師データを用いたAI機能は撮影時間の短縮や画像ノイズの低減機能、また被ばく量を抑えた撮影技術に多く適用されています。今よく耳にするSTAT画像報告のような検査時に画像の異変に気付き判断・助言を求められる環境に多く遭遇しますので、技師が撮影する際の画像診断にも今後役に立つ機能になってくれば嬉しいなと思います。
また次回もお楽しみに。
【日本初*】「ディープラーニングを用いた医用3D画像向けの異常検出方法」の特許出願 少量の正常画像を教師データとして学習し、異常箇所を迅速かつ自動的に検出