放射線技師免許のアップデート:告示研修の現状

こんにちは。
ラジエーションジャーナル編集部、診療放射線技師の林です。
令和3年法改正によって技師の業務が拡大され以下の新たな業務が可能となりました。
・静脈路の確保
・下部消化管検査で造影剤及び空気を吸引する行為
・鼻腔カテーテルから造影剤を注入する行為及びカテーテルの抜去
・動脈路に造影剤注入装置を接続及び操作
これらの業務を行う研修が告示研修(令和3年厚生労働省告示第273号研修)。診療放射線技師の資格を有する者は、厚生労働大臣が指定するこの研修を受けることが義務付けられています。
今回の記事では、放射線技師がどの程度この研修を受けているのか、また拡大された業務を実際に行っているのか書いてみたいと思います。
告示研修とは?
まず、告示研修とは、大きく二つの研修、基礎研修(e-ラーニング形式:700分)と実技研修(会場型:385分)からなり、実技研修を受講するためには基礎研修の修了(e-ラーニングの受講および確認テストの合格)が条件となります。また費用は技師会員¥10,000、非会員¥30,000と放射線技師会に入会している人、していない人で¥20,000の差があります。以下に告示研修の流れを示します。

今年初め、私の務める施設が所属している地域(ブロック地区)の技師会で、告示研修についてのアンケートが行われました。その結果を下記に示します。
アンケート結果
対象施設:15施設
1. 告示研修受講者について
対象技師:97人 受講済み:61人 (受講率:62.5%)
2.受講費について
自己負担 :8施設(29人)
病院等からの補助:5施設(25人)
未定(不明) :2施設(7人)
3.静脈路確保を行ってる施設:1施設
*静脈路確保・RI投与については院内での研修システムを構築。指導医師・看護師の合格が得られた
スタッフは単独で実施可能としている。(現在8名が対応可または研修中)
4.抜針を行っている施設:3施設

*その他ご意見として、
・造影の検査数が少ないため、静脈路確保は看護師にお願いしている
・ルート確保したまま退出するので抜針も看護師にお願いしている
・告示研修にあるような業務をおこなわないので研修未受講(緊急的な必要性はない)
・人員的に研修に参加難しい
・研修受講費補助は技師会に入っていることの条件であり
・条件つきで抜針は今後検討中
・造影検査を行っていない
のようなコメントを頂きました。
感想
告示研修が始まって2年ほど経ちますがまだまだ受講率も低いのが現状です。またこの研修の地方開催も今年度で打ち切りが決定されています。なので、今年の受講者は増えるのではないでしょうか。また研修を受けたからとは言え、静脈路確保に関しては業務の敷居が高く、実際に業務に反映している施設は少ないようです。確かに今まで患者さんに針をさす業務をしていないので、流石に抵抗はありますよね。
タスクシフト/シェアの時代、影響は我々にも大きいですが今後の放射線技師の働き方も変化がありそうです。
今回もご覧いただきありがとうございました。次回もお楽しみに~!