遠隔読影の施設基準とは?4つの画像診断管理加算の要件・点数も詳しく解説

遠隔読影を導入したいと考えている医療機関にとって、「施設基準」や「画像診断管理加算」の要件を正しく理解することはとても重要です。
これらの制度は、保険診療として遠隔読影を行うための前提条件であり、要件を満たさないまま運用すると診療報酬の加算が認められない可能性もあります。
本記事では、遠隔読影の施設基準として定められた5つの要件(人員・設備・通信環境・診療録・契約関係)を詳しく解説します。
画像診断管理加算チェックリストも用意しているため、ぜひ参考にしてみてください。
遠隔読影の施設基準とは
遠隔読影の施設基準とは、医療機関が保険診療において遠隔画像診断(いわゆる遠隔読影)を実施する際に満たすべき制度上の条件のことです。
具体的には、診療報酬の請求を行うために、厚生労働省が定める一定の人員体制や設備、記録の管理体制などが必要とされています。
これらの基準は「施設基準」と呼ばれ、満たしていない場合は、読影を実施していても保険診療として認められず、加算の対象にもなりません。
そのため、遠隔読影を導入・運用する際には、制度の全体像を理解し、正しく準備を整えることが重要です。
遠隔読影の施設基準要件
遠隔読影を保険診療として実施するには、厚生労働省が定める以下の5つの要件を満たす必要があります。
要件 | 内容 | 詳細 |
人員要件 | 読影を行う医師の配置 | 原則、専門医(放射線科医等)※常勤・非常勤で扱いが異なる場合あり |
設備要件 | 画像表示・保存装置 | DICOM対応ビューア/PACSなどが必要 |
通信環境 | セキュアなネットワーク構築 | VPN接続・通信ログの保存が望ましい |
診療録 | 記録・保存体制 | 診療録内に読影結果を保存/一定期間保存義務あり |
契約関係 | 読影医との契約 | 就業規則や業務委託契約書で明確に定義が必要 |
施設基準要件は、遠隔であっても安全かつ精度の高い画像診断を提供するために設けられているものです。
次に、5つの要件をそれぞれ詳しく見ていきましょう。
人員要件
遠隔読影を保険診療として実施するには、画像診断を担う医師の資格や配置に関する「人員要件」を満たす必要があります。
主に求められるのは、読影を担当する医師が放射線科専門医であること、または画像診断に関する十分な知識と経験を有していることです。
さらに、常勤医または非常勤医のいずれかの形態で適切に体制が整っているかも問われます。
診断の質を担保する観点から、常勤での配置が望ましいとされる一方、非常勤医の活用も制度上は認められています。
人員要件を満たさない場合、加算対象外となることがあるため、読影体制の構築にあたっては医師の資格や勤務形態を慎重に確認することが重要です。
設備要件
遠隔読影を適切に実施するためには、画像の取得・送信・閲覧を高精度、かつ安全に行うための専用設備が求められます。
代表的な設備としては、PACS(画像保存通信システム)や高解像度モニター、DICOM対応の画像ビューワなどが挙げられます。
これらの設備は、読影医が遠隔地にいても画像の劣化なく診断できる環境を整えるために必要です。
さらに、バックアップシステムの導入や保守体制の整備なども推奨されています。
通信環境
遠隔読影においては、画像データを安全かつ迅速に送受信するための通信環境が重要です。
具体的には、安定したインターネット回線の確保に加えて、通信内容の暗号化やVPN(仮想プライベートネットワーク)を活用したセキュリティ対策が求められます。
また、画像の転送に際しては、高精細なデータでも劣化なく送れるだけの通信速度と帯域が必要です。
通信が不安定で画像が欠損した場合、誤診のリスクが高まるため、制度上も品質保持の観点から明確な基準が設けられています。
診療録
遠隔読影を保険診療として実施するには、読影結果を適切に診療録へ記載し、一定期間保存する体制が整っていなければいけません。
診療録には、画像診断の所見や診断結果、実施日時、担当医師の氏名などが正確に記録されている必要があります。
また、電子カルテを用いる場合は、システム上で修正履歴が追えることや、記録の一貫性・真正性が担保されていることも重要な条件です。
保存期間は5年間が基本とされていますが、法令に基づく要件に従って運用されているかも重要なポイントです。
契約関係
遠隔読影を外部の医師や専門機関に委託する場合、正式な契約書を取り交わし、業務内容や責任の範囲を明確にしておく必要があります。
契約書には、委託する業務の詳細、読影結果の提供方法、個人情報の取り扱い、緊急時の対応、報酬や契約期間などを明記します。
また、再委託が禁止されているケースもあるため、契約内容の法令遵守が求められます。
画像診断管理加算について
画像診断管理加算は、画像診断を適切に管理・実施する体制を整えている医療機関に対して、診療報酬上の加算が認められる仕組みです。
この加算を算定する方法には、以下の2通りがあります。
- 画像診断管理加算の施設基準を取得して算定する方法
- 遠隔画像診断により算定する方法
それぞれで求められる要件や体制が異なるため、まずは自院の診療体制と照らし合わせながら適切な加算の種類を選択することが重要です。
以下では、加算1~4のそれぞれの概要と点数、必要な要件について詳しく解説します。
画像診断管理加算1の概要・点数
画像診断管理加算1は、放射線科を標榜する保険医療機関で、専ら画像診断を担当する医師が1名以上配置されていることが算定の前提です。
外部の施設や企業に読影や診断を委託している場合は対象外となります。
加算の対象となるのは、写真診断、基本的X線診断、核医学診断、コンピュータ断層診断などで、画像診断の実施体制や読影の一貫性、診断報告の確実性をもとに、適切な体制が整っているかが判断されます。
画像診断管理加算2の概要・点数
画像診断管理加算2は、加算1よりもさらに高度な体制整備が求められる加算です。
常勤の放射線科医に加えて、診断機器の精度管理や医療安全対策、定期的な院内研修の実施などが算定要件です。
点数は月1回につき250点程度で、より高い管理能力と人員配置が求められることから、中~大規模の病院を中心に導入が進められています。
また、制度上は加算1と加算2は併用できず、要件を満たす上位加算を選択する形となります。
画像診断管理加算3の概要・点数
画像診断管理加算3は、画像診断の精度向上と教育体制の構築を重視した上位加算です。
点数は月1回につき300点程度となっており、放射線科医師による指導体制や多職種連携、外部監査の受入れなど、より高水準の体制が求められます。
また、画像の二重読影体制や、医師同士の定期的なフィードバックの仕組みを取り入れることが推奨されており、大学病院や総合病院といった大規模施設で取得するケースが多いです。
画像診断管理加算4の概要・点数
画像診断管理加算4は、地域医療連携や人材育成、先進的な読影体制の整備を評価する加算です。
点数は月1回につき350点前後で、4つの加算の中でもっとも高い点数が設定されています。
研修医の教育支援や診療ガイドラインの整備なども要件に含まれるため、単なる設備や人員体制だけでなく、地域への貢献度や社会的役割も評価の対象となります。
画像診断管理加算チェックリスト
画像診断管理加算の取得可否を判断するうえで、施設が満たすべき要件を整理したチェックリストを作成しました。
遠隔読影の施設基準・管理加算に関するよくある質問
最後に、遠隔読影の施設基準・管理加算に関するよくある質問をまとめました。
遠隔読影サービスの導入を検討している方はぜひおさえておきましょう。
遠隔読影であっても診療報酬の加算対象になる?
遠隔読影であっても、厚生労働省の定める施設基準と診療報酬算定要件を満たしていれば、診療報酬の加算対象となります。
ただし、外部委託による読影であっても、委託契約の整備や読影医師の資格、診療録への記載、画像の保存体制などが制度上の基準を満たしている必要があります。
遠隔画像診断管理加算は、外部サービスを使っても算定できる?
企業やNPO法人などが提供する遠隔読影サービスを利用している場合、画像診断管理加算は原則として算定できません。
当社が提供するY’s REPORTも同様に、画像診断管理加算の対象外となります。
画像診断管理加算の算定には、医療機関内に専ら画像診断を担当する医師が配置され、読影や報告を自院の管理体制のもとで実施していることが求められます。
外部の法人に読影業務を委託しているケースでは、診療報酬制度上、医療機関側の管理体制が不十分とみなされるため、加算対象から外れてしまいます。
Y’s READINGはプライバシーマーク(Pマーク)を取得している?
はい、当社はプライバシーマーク(Pマーク)を取得済みです。
プライバシーマークは、個人情報の取り扱いに関して適切な保護体制と運用が行われている事業者に付与される認証制度であり、遠隔読影をはじめとする医療情報の取り扱いにも非常に重要です。
当社では、読影画像や患者情報の送受信・管理において、厳格なセキュリティ基準と社内ルールに基づいた運用を徹底しています。
医療機関や患者様に対して、より安全かつ信頼性の高い環境でのサービス提供に努めていますのでご安心ください。
遠隔画像診断サービスならY’s REPORT CLOUD
Y’s REPORT CLOUDは、初期費用・月額費用ともに無料で利用できる遠隔画像診断サービスです。
クラウド型で提供されるため、導入にあたって専用機器やサーバの準備は必要なく、一般的なネットワーク環境のみで導入可能です。
さらに部位やスライスによる加算もなく、費用を抑えながら放射線診断専門医による遠隔読影サービスを利用できます。
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