画像診断の見落としを防ぐには?放射線科医が語る実際にあったヒヤリハット集
CTやMRIなどの画像診断を提供している医療機関にとって、読影時の見落としは非常に大きなリスクではないでしょうか。
画像診断の見落としを防ぐうえで、多くの病院・クリニックがダブルチェックなどを徹底していますが、それでも見落としによって治療の開始が遅れてしまうような事案は日々発生しています。
この記事では、医療機関は画像診断の見落としに対してどのように向き合うべきなのか、また実際にあった事案をもとに、見落としの原因と対策について解説します。
画像診断の見落としはどれくらい起きている?
まずは、医療現場において、画像診断の見落としがどれくらい起きているのかについて見てみましょう。
公益財団法人 日本医療機能評価機構は、2017年10月~2020年9月の3年間で「画像診断報告書の記載内容を見落とした事例」の報告件数は全国で32件であったと発表しています。
また、2018年7月に発刊された日農医誌には、星野有氏による研究報告の中で、専門医以外がCT画像をチェックした場合、15,196件のCT検査において1.1%にあたる171件の見落としが発生したとの記載もみられます。
画像診断の見落としによるリスク
近年では、画像診断の見落としによって治療が遅れたことに対して、患者側から訴訟されるというケースも発生しています。
もし訴訟に発展した場合、一定の条件を満たしていれば、医療機関側に損害賠償責任が生じます。
具体的には「見落としによって患者に損害が生じていること」、「医療従事者の処置・対応に過失があったこと」が条件であり、損害と過失の間に因果関係が認められれば、損害賠償責任が生じる可能性が高まります。
実際の判例でも、画像診断時の見落としによって異常陰影の指摘をしなかったとして、損害賠償が認められたケースは多く、損害賠償額は数百万円から数千万円にのぼることもあります。
画像診断の見落としが発生する原因
画像診断の見落としが発生する原因としては、主に下記の3つがあげられます。
- 医療画像の読み誤り
- 画像診断報告書の確認漏れ
- 医療従事者間の連携ミス
それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
医療画像の読み誤り
医療画像の読み誤りは、主治医が読影を行なっている場合に起こりやすいケースです。
診察をしながら読影もするとなると、業務負担が大きく、見落としにつながりやすくなります。
また、読影を専門としているわけではないため、知見や経験などの点から異常所見を見落としてしまう可能性もあります。
画像診断報告書の確認漏れ
画像診断医が在籍する場合、作成した画像診断報告書を主治医が確認するのが漏れるというケースも考えられます。
急性疾患への対応をしていたり、重症度の高い患者の治療を並行していたりと、主治医に余裕のない状況では画像診断報告書が未読のままになってしまうことも起こりえます。
また、画像診断報告書のうち、予期せぬ重要所見があるレポートはごく一部であることも、つい報告書の確認が後回しになってしまいがちな理由でもあります。
医療従事者間の連携ミス
そのほかに、人為的なミスによって画像診断の見落としが生じるケースもあります。
規模の大きな医療機関では、日々多くの患者の画像診断をおこなっていることから、取り扱うデータ量も膨大になります。
そのような状況で、患者の情報とデータを照合するうえでの読み合わせや確認を怠ると、誤った診断結果が下されてしまうリスクが高まります。
遠隔画像診断サービス Y’s REPORTでは、これらの見落としの原因に対して、最大4重チェックでの確認、主治医がレポートを確認したことを記録する未読/既読機能などによって万全の対策をしています。
また、緊急性の高い異常所見が見られた場合には、医療機関にすぐに連絡することにより、ささいな見落としから医療過誤につながることを防いでいます。
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実際にあったヒヤリハット集
画像診断の見落としはどのようなシーンで発生しているのでしょうか。
続いて、実際の事例をもとに、画像診断時のヒヤリハット事案について紹介します。
Case1.前立腺がん転移評価中に見つかった甲状腺部の小腫瘤影
前立腺がんの転移評価では、胸部〜骨盤が主な確認範囲となることが多い症例であり、 レポート内容と画像の整合確認を行う中で、スライス全体を頭側まで通しで確認した際、甲状腺峡部の淡い隆起が目に留まりました。再度、放射線診断専門医が確認し、甲状腺部腫瘤の可能性が指摘され、精査推奨コメントが追加された1例です。施設側への対応としては、本所見をもとに追加検査が実施されました。
✅ポイント:「目的臓器外」にも一定の視野を確保する確認工程は、早期病変の拾い上げに有効です。
Case2.くも膜下出血確認後に見つかった微小動脈瘤
緊急症例でくも膜下出血が明瞭に確認されたケースで、診断が早期に方向づけられる状況でした。レポート記載と血管走行の関連性チェックのなかで、「責任血管の明確化」が必要と判断され、放射線診断専門医に情報を共有。左IC-PC領域に5mm未満の小動脈瘤が確認され、出血源の候補として追記しました。
✅ポイント:「診断が確定したと思われる段階」でも、確認の流れが継続できる枠組みが重要です。
Case3.悪性リンパ腫フォロー中に見つかった乳房結節影
リンパ節の再発確認を目的としたフォローアップCTでした。評価の焦点が特定部位に集中しやすいケースです。レポート内容の整合性チェックを行う際に、関心領域外についても画像確認を実施し、その過程で右乳房に小結節影を認め、追加確認を依頼しました。腫瘍性病変の可能性を指摘し、精査推奨が追記される1例です。施設側へ乳腺外科による評価を検討しました。
✅ポイント:「関心領域外の観察」という工程は、目的外の併存病変を拾い上げるうえで有効なステップとなります。
Y’s REPORTで画像診断の見落としを防げる理由
画像診断時の見落としを防ぐうえでは、遠隔画像診断サービスを導入することも一つの手です。
遠隔画像診断サービスを利用すると、読影を専門医に外注できるだけでなく、主治医の業務負担を抑え流ことが可能です。
以下では、Y’s READINGが提供する遠隔読影サービスY’s REPORTによって、画像診断の見落としを防げる3つの理由について紹介します。
臨床情報と画像をもとに最適な専門医が読影
Y’s REPORTでは、130名以上の放射線診断専門医によるネットワークを構築しており、臨床情報や画像をもとに最適な専門医が読影をおこないます。
専門スタッフが各医師の経験や専門領域から、担当医師を決定しており、高品質な読影を実現しています。
二次読影を含む最大4重チェックを実施
Y’s REPORTは最大4重チェックによって見落としへの対策を徹底しています。
まず、すべての読影依頼に対して、専門スタッフが臨床情報・画像をチェックしたうえで、最適な専門医をアサインして一次読影をおこないます。
専門医によるレポートの作成後は、再度専門スタッフによって校正チェックをし、症例によって経験豊富な専門医による二次読影をおこなっています。
さらに医療機関側からのリクエストがあれば再読影にも対応可能です。
既読機能によって主治医によるレポート確認を徹底
どんなに高品質な読影がおこなわれていたとしても、主治医によるレポート確認に漏れがあると、見落としを防ぐことはできません。
そこでY’s REPORTでは、主治医がレポートを確認したことを記録する「レポート閲覧・既読チェックシステム」を提供しています。
主治医はレポートの確認時、ワンクリックで既読チェックができ、未確認のままレポートが流れてしまうことを防いでいます。
遠隔画像診断サービスならY’s REPORT CLOUD
Y’s REPORT CLOUDは、日本でもっとも品質を追求する遠隔読影会社Y’s READINGが提供する遠隔画像診断サービスです。
130名以上の放射線診断専門医のうち、臨床情報や画像の内容をもとに、最適な専門医が読影をおこない、最大4重チェックを経て高品質なレポートが返送されます。
レポート返送後も、チャットによるご質問や再読影依頼などが可能で、主治医の負担を軽減しつつ、画像診断の品質を高められます。
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