これはどうなの? MRIでのヒートテックとエアリズム


記事の監修医師
【略歴】
熊本大学医学部卒業
【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授
こんにちは。
ラジエーションジャーナル編集部、診療放射線技師の林です。
MRI検査は強力な磁力を使用するため、持ち物の吸着や電子データの破損、過電流による発熱事故などの危険があります。これらを防ぐため、我々放射線技師は日々注意しながら撮影対応を行っています。今回の記事ではここ数年で普及している「機能性下着」についてMRI検査ではどう対応しているのかを書いてみたいと思います。
普及している機機能性下着には大きく分けて2種類あると考えられます。寒い冬に着用するヒートテックのような保温性があるものと暑い夏に着用するエアリズムのような涼しさを提供しているものです。
結論から言うならば、
・ヒートテックはNG
・エアリズムはOK
MRI検査では撮影時、RF波というラジオ波を身体に照射します。そのRF波が身体を温めるため、体温が上昇することがあります。
①ヒートテック
ヒートテックのような吸湿発熱素材を着用していると体温が上昇し汗をかきます。その汗が原因で誘導伝導体となる人体に過電流のジュール熱が生じ、火傷になる可能性が高くなります。当院では保温性のある下着を着用されている患者さんに関しては脱いでいただき検査着に着替えるよう促した対応を行っています。
②エアリズム
エアリズムのような夏用の機能性肌着は熱気を放出し衣服内の湿度を調整してくれます。なので検査時、暑さを感じにくくなり汗はかきにくいと考えられます。ただ、基本素材であるポリエステルは綿と比べて汗を吸いにくいと言われていますので、施設によっては発熱事故を防止するため、必ず脱いで検査している施設もあるようです。
いかがだったでしょうか。
最近、よく目にする出川さんがCMに出ているリライブシャツ、これは特殊な鉱石を衣服に練り込んでいるのでMRI検査時には脱がないと検査はできないでしょう。今後もいろんな機能を持った衣類が開発され世の中に出てくるかもしれません。
患者さんに安全な検査を提供するため、最新の情報を得ながら検査に適応していくことも我々放射線技師の大事な仕事の一つです。
次回もお楽しみに。