遠隔画像診断システムは導入すべき?ベンダー選びから運用までの流れや費用は?

近年、医療現場では放射線科医の不足や読影業務の負担増加により、画像診断の質と速さの両立が大きな課題となっています。
そこで注目されているのが「遠隔画像診断サービス」の導入です。
本記事では、遠隔画像診断システムの仕組みや導入の流れ、費用の目安から、実際に導入すべき医療機関の特徴、メリット・デメリットまで詳しく解説します。
遠隔画像診断サービスとは
遠隔画像診断サービスとは、医療機関で撮影したCTやMRIなどの画像データを、オンライン通信を通じて外部の放射線診断専門医に送信し、読影を依頼するシステムです。
これにより、放射線科医が常駐していない病院やクリニックでも専門的な診断を受けられるようになります。
とくに、画像診断の精度と速さを重視する現場においては、遠隔画像診断サービスを導入することで、医療の質と患者満足度の向上に直結します。
遠隔画像診断サービスを導入すべき医療機関・施設の特徴
遠隔画像診断サービスは、医療資源が限られた地域医療機関や中小病院、または健診施設との相性がよいです。
遠隔画像診断サービスを導入すべき医療機関・施設の特徴としては、主に以下の4つがあげられます。
- 放射線科医がおらず読影や診断に不安がある
- 主治医が診療と読影をしていて画像診断に十分な時間を割けない
- 健診の受付が多く繁忙期の読影業務の負担が大きい
- CTやMRIなどの検査機器の稼働率が低い
次に、遠隔画像診断サービスを導入すべき医療機関・施設の特徴を詳しく解説します。
放射線科医がおらず読影や診断に不安がある
常勤の放射線科医を確保できない医療機関では、画像診断の質に対する不安がつねに付きまといます。
CTやMRIなどの検査画像の読影には、専門的なスキルが求められるため、主治医や担当医が兼務で対応する体制には限界があります。
遠隔画像診断サービスを導入すれば、つねに専門医による的確な所見が得られることから、診断の信頼性の向上にもつながるでしょう。
診断の一貫性や報告の迅速性も改善され、外来・入院問わず、質の高い医療提供を維持できるようになります。
主治医が診療と読影をしていて画像診断に十分な時間を割けない
多くの地域医療機関では、主治医が診療業務に加えて画像の読影も担当しており、医師の業務負荷が大きくなっています。
その結果、診断作業に十分な時間をかけられず、読影の遅延や精度の低下が懸念されるケースもあるでしょう。
遠隔画像診断サービスを導入することで、主治医が本来の診療業務に専念できるようになり、患者対応の質の向上も期待できます。
さらに、専門医が読影を担当することによって、説明の明瞭さや治療方針の判断にも良い影響を与えます。
健診の受付が多く繁忙期の読影業務の負担が大きい
健診センターや病院の健診部門では、繁忙期には大量の画像検査を処理する必要があります。
とくに企業健診や地域住民健診などが集中する時期には、通常の診療業務に加えて読影負担が増大し、院内だけでは対応しきれない状況にもなりかねません。
そのため、繁忙期にスポットで遠隔画像診断サービスを利用するのも一つの手です。
外部の専門医に読影を委託することで、短期間で大量の画像診断を処理できるだけでなく、健診の品質向上にもつながります。
CTやMRIなどの検査機器の稼働率が低い
CTやMRIなどの画像診断装置を導入しているにもかかわらず、院内に読影体制が整っていないために、十分な件数の検査を実施できていない施設は少なくありません。
遠隔画像診断サービスを導入すれば、画像撮影と読影の分業が実現し、診断結果の迅速な提供が可能になります。
また、近隣の医療機関からの検査依頼にも対応できるようになり、検査機器の稼働率向上につながります。
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遠隔画像診断サービス導入の流れ
遠隔画像診断サービスを導入する際の流れは下記のとおりです。
- 導入の目的の明確化
- 導入サービスの比較検討
- サービス提供に関する契約の締結
- 機器・通信環境の導入準備
各ステップには検討すべきポイントや注意点があるため、順を追って見ていきましょう。
導入の目的の明確化
はじめに取り組むべきことは、遠隔画像診断サービスをなぜ導入するのか、その目的を明確にすることです。
たとえば「放射線科医の不在を補いたい」「健診業務を効率化したい」「読影精度を高めたい」などの目的が考えられます。
まずは現場の課題や期待される成果を具体的に洗い出し、関係者間で共通認識を持つことが、その後のサービス選びで失敗しないためのポイントです。
導入サービスの比較検討
導入目的が明確になったら、複数の遠隔画像診断サービスを比較検討するステップに進みます。
比較ポイントとしては、以下のような項目があげられます。
- 読影医の体制(常勤・非常勤/専門医の有無)
- 対応スピード(レポート返却までの期間/夜間対応)
- 読影精度
- データのセキュリティ(通信環境/インフラ)
- 報告形式
- 料金体系(初期費用/月額費用/従量課金)
- 自院のシステムとの連携性(PACS/電子カルテ)
サービスを比較検討する際は、ついコストで比較しがちですが、読影品質やサポート体制などを含めて総合的に判断することが大切です。
サービス提供に関する契約の締結
導入するサービスが決まったあとは、サービス提供に関する契約を締結します。
契約時には、主に以下のような内容を確認しておきましょう。
- サービスの提供範囲
- 読影納期
- 対応時間帯
- 緊急時の連絡手段
- 診断レポートの形式
- 個人情報保護の体制
- トラブル時の責任範囲
また、導入前にトライアルが可能な場合には、試験運用をしてみて導入後のイメージをつかむこともおすすめです。
契約前には、現場の医師やスタッフとともに運用面のすり合わせをおこない、不明点や懸念点を解消しておきましょう。
機器・通信環境の導入準備
遠隔画像診断サービスの運用には、医用画像を円滑かつ安全にやりとりするための機器や通信環境が必要です。
たとえばオンプレミス型の遠隔画像診断サービスを導入する場合、院内に専用サーバなどの環境を構築し、CTやMRIなどの撮影装置から画像を出力し、DICOM形式で送信できる通信インフラを整備します。
また、読影画像をアップロードするネットワーク回線は、通信速度と安定性の両面が重要です。
加えて、セキュリティ面ではVPN接続やSSL暗号化などによる対策が求められるため、既存のインフラや通信環境で対応できるかを確認しましょう。
遠隔画像診断サービス導入にかかる費用の目安
遠隔画像診断サービスを導入するには、初期費用と運用費用を見積もるべきです。
導入するサービスによって費用には幅がありますが、目安としては以下の表のとおりです。
費用項目 | 内容の概要 | 相場の目安 |
初期費用 | システム導入・端末設定・クラウド環境構築など | クラウド型:約0円〜10万円 オンプレミス型:約5万~20万円以上 |
月額費用 | 保守・管理・クラウド利用料・データ転送費など | 約1万円〜5万円程度 ※プラン内容や依頼件数により変動 |
読影費用 | 画像1件あたりの読影・所見作成の費用 | 一般撮影:500円〜 CT/MRI:2,000〜3,300円 ※件数によって安くなる場合もある |
上記はあくまでも目安となっており、施設の規模やサービス内容によって金額は大きく異なります。
そのため、まずは複数社に見積もりを依頼したうえで、サービス内容や読影品質なども含め、総合的に判断するのがおすすめです。
遠隔画像診断サービス導入にかかる費用について詳しく知りたい場合には、以下の記事も併せてご覧ください。
⚫︎関連記事:遠隔読影の費用相場は?導入・運用にかかる料金の内訳と安く抑えるポイント
遠隔画像診断サービスを導入するメリット
遠隔画像診断サービスの導入は、単に業務の外注先を確保するだけでなく、医療現場の質や効率性を向上させるメリットをもたらします。
- 読影医の負担を軽減できる
- 放射線診断専門医による読影によって診断の質を向上できる
- 病院機能評価の評価ポイントとなる
以下では、遠隔画像診断サービスの3つのメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
読影医の負担を軽減できる
前述のとおり、放射線科医がいない現場では、主治医や担当医が読影をせざるを得ませんが、診療と読影を兼ねるとなるとなかなか大きな業務負担になります。
また、放射線科医がいる場合でも、検査件数によっては放射線科医の読影業務の負担が問題となるケースもあります。
遠隔画像診断サービスでは、読影業務の外注化により、院内の医師やスタッフの業務効率の改善が期待できます。
近年、医療機関における人手不足が課題となっているなかで、医師やスタッフの働き方改革につながる有効な施策といえるでしょう。
放射線診断専門医による読影によって診断の質を向上できる
遠隔画像診断サービスでは、専門性の高い放射線診断専門医が画像を読影するため、診断の精度と信頼性が格段に向上します。
これにより、初期診断での見落としが減り、早期の治療方針決定や、患者への的確な説明が可能となるでしょう。
また、診断内容が標準化されることで、施設全体の医療の質が均質化されるメリットもあります。
医師や技師が不安を感じやすい微細な病変や初期がんなども、専門医の目によって検出されやすくなるため、診断の質の面でも大きな効果が期待できます。
病院機能評価の評価ポイントとなる
遠隔画像診断サービスの導入は、第三者機関による病院機能評価や認定取得において、体制整備の観点からプラスに評価されることがあります。
たとえば、日本医療機能評価機構などがおこなう審査では、「専門医による診断体制の整備」「診療精度の向上」「医療安全への配慮」などの要素が重要なチェックポイントとなります。
実際、遠隔画像診断サービスY’s REPORT CLOUDを導入している福岡整形外科病院様では、病院機能評価を受審した際にも、遠隔読影サービスについて言及できたという声をいただいています。
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遠隔画像診断サービスを導入するデメリット
遠隔画像診断サービスには多くのメリットがありますが、一方で、導入に際して考慮すべきデメリットも存在します。
以下では、遠隔画像診断サービスの2つのデメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
導入や運用にはコストがかかる
遠隔画像診断サービスを導入するには、インフラやネットワークを整備するための初期費用、運用中の固定費や従量課金などの月額費用がかかります。
そのため、とくに画像検査件数が少ない施設では、費用対効果に対する懸念をもつこともあるでしょう。
しかし、業務効率や診断精度の向上といった成果を踏まえると、長期的にはコスト以上のリターンが見込めるケースも多くあります。
また、Y’s REPORT CLOUDのように初期費用・月額費用が無料となっており、1件あたりの従量課金のみで利用できる遠隔画像診断サービスもあるため、ニーズに応じたサービスやプランを選ぶようにしましょう。
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画像診断管理加算の対象にならない
診療報酬制度においては、画像診断管理加算といった加算項目が設定されていますが、民間のベンダーによる遠隔画像診断サービスを利用する場合、画像診断管理加算の算定がとれません。
具体的には、読影を担当する放射線科専門医の配置要件や、院内での即時対応体制の有無などが基準として設定されており、遠隔画像診断サービスでは画像診断管理加算の施設基準を満たせない点に注意しましょう。
⚫︎関連記事:遠隔読影の施設基準とは?4つの画像診断管理加算の要件・点数も詳しく解説
遠隔画像診断サービスならY’s REPORT CLOUD
Y’s REPORT CLOUDは、日本でもっとも品質を追求する遠隔読影会社Y’s READINGが提供する遠隔画像診断サービスです。
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