磁気共鳴医学会 〜進化するCT like image〜

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記事の監修医師

中山 善晴

【略歴】
熊本大学医学部卒業

【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授

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ラジエーションジャーナル編集部の林です。

8月29日(金)〜31日(日)で開催された第53回日本磁気共鳴医学会大会に参加しました。

日本磁気共鳴医学会大会とは、MRI検査を愛して止まない診療放射線技師や放射線科医が多く参加することで有名な、非常にマニアックな学会です。

取り上げられる内容も、、臨床的な講演(例えば医療安全の話や患者さんのポジショニングなど)からラットを使用した最先端技術を駆使した治験的な研究発表と多岐に渡ります。

今回も例年同様、ハイブリッド開催のため、ウェブ参加によって様々な講演を視聴することができましたので、3日間視聴した内容の中で、最も興味深い内容をピックアップさせていただきシリーズとしてご紹介したいと思います。

第1回目は、「進化するCT like image」についてご紹介したいと思います。

ここ数年、CT骨条件に類似した画像をMRI検査で撮像するのが、業界のトレンドとなっています。

前々回のJSMRM報告「CT like image」のコラム

今回の学会でも数多くの関連の演題が出題されておりますがMRIで”CT類似画像が得られる”こういう画像診断ができる”だけでなく、それ以外の活用について報告が数多くありました。

Bone imageとNerve imageを同時収集

脂肪抑制DIXON法を用いてCT like画像(Bone image)と神経を描出。

Neroguraphty(Nerve image)を同時に取得する撮像方法の紹介。

3DT2*WIを利用し半月板を評価

CT like画像を取得する際、3DT2*類似画像を撮像しますが、CT like画像を作成する前のこの画像を診断に使用できるのではとの検討。膝関節の半月板評価で通常のT2*画像と遜色なく診断が行えるとの報告がありました。

原画を用いたMRAngiogrphy画像の有用性

上記半月板の評価と同様に、CT like画像出力前の画像の活用法を紹介。3Dグラジエント法での撮像のため血流信号が高信号になることを利用したもので、通常のAngiogrphyで撮像するTOF法と比較して、血管の描出力がどれほどか、実用化できるかを検討。骨描出の3D画像(Bone image)も同時に取得できるため血管と骨のフュージョン画像も作成可能と考えられます。

手術支援画像としての活用

手術支援として3次元の立体的な画像を求められることが多くなってきています。今回脳外科領域でMRIで撮像するCT like画像(Bone image)とMRAngiogrphy(TOF法)の2つの画像をフュージョンさせ3次元画像として実用化しているとの報告があり。造影CT検査の必要がなく、1回のMR検査だけで術前検査を完結できるのが大きなメリット。発表では臨床例としてCEA(頸動脈血栓内剥離術)やSTA-MCAバイパス術の手術支援画像を掲載。

石灰化描出:CT値との相関について

後縦靭帯硬化症など石灰化病変を画像診断で評価することは重要で、CT画像でなく近年ではMRIのCT like画像でも評価が可能となっている。そこで石灰化病変の持つCT値とMRIでの信号値との相関について検討した結果、CT like画像とCT値は正の相関関係があると報告。ただし、SNR(信号雑音比)の影響が大きいためCT like画像を撮像時は充分なSNRが必要であるとのこと。

上記以外でも様々な検討報告があり、以前よりもう一歩踏み込んだCT like imageに進化してきている印象を受けました。

このような情報を得て実際の臨床に実用化する大切さを再度学んだ気がします。

また次回もお楽しみに。