MRI検査で流す音楽(BGM)

ラジエーションジャーナル編集部です。

突然ですが、MRI検査と聞くとみなさんはどのような検査なのかご存知でしょうか?MRI検査について少し簡単ですが、説明します。

MRI(磁気共鳴画像)検査は、強力な磁石と電磁波を利用し人体を検査する方法です。レントゲンやCT検査と異なり、大きな特徴として、MRI検査だけは、放射線を使用せずに行う検査のため、通常のレントゲンやCT検査のように被ばくを考慮しなくてよいという点があります。

しかし、MRI検査には、大きな欠点が3つあります。

まず1つめは、時間です。
一般的に、1回の検査でかかる時間は20〜30分ほどかかります。
X線撮影やCT検査が、約5分ほどで検査が終わるのと比較した場合、MRI検査では、拘束時間がレントゲンやCT検査より約4倍も長いという特徴があります。もちろんの間、体を動かさないことが診断へ導く正しい画像を撮影するために非常に重要で大切です。そのため、患者様への負担が大きくなってしまう点があります。

次に、2つめの欠点です。MRI検査とは、先ほども述べたとおり、強力な磁石と電磁波を利用し人体を検査するため、特殊な狭い空間に入らなければいけません。
この空間を「ガントリ」と言い、直径50〜70cmのトンネルになっています。そのため、例えば、閉所恐怖症の患者様や体の大きな患者様などは、この空間に入ることも困難であり、尚且つ、通常のレントゲンん検査などといった検査時間よりも拘束時間が長くなるため、検査自体苦痛を感じてしまいます。

最後に3つめです。このMRI検査の装置自体の音が非常に騒がしいことです。

なぜかというと、MRI検査の特徴である磁場を発生させるために、大きな電流をMRI装置に流します。
その際、周りの機器に歪みが生じ、それが高速で繰り返されることで空気が振動することにより音が発生してしまうからです。
この音が小さいといいのですが、騒音レベルに値します。よく例えられるのは、電車が通る高架橋(ガード)の下の音量です。数値で表現すると100dB(デシベル)前後なので、患者様にとっては、相当の苦痛を感じてしまうと思います。
MRI検査については、以前のコラム:放射線検査の種類ーMRI検査ーについてご紹介していますので、ぜひこちらの記事もご覧ください。

さて、この3つの欠点を補うため、MRI検査では、検査中にヘッドフォンを用いて音楽を流すようにしています。
患者様が、なるべくリラックスして検査を受けていただけるように、、また検査の成功率を上げるための工夫でもあります。
今回は、主に私がMRI検査室で流している音楽をご紹介します。
我々の施設では、MRI操作PCの横にONKYOのミニコンポを設置しています。
MRI検査時は、患者さんの年齢に合わせて音楽を選択し、流しています。

MRI検査室 ONKYOのミニコンポ

当院のMRI検査で流している音楽一覧

年齢音楽
~ 10子ども向けのオムニバスアルバム
10 〜 20ジブリのジャズ系アルバム
20 〜 40クラシック
40 〜 70松任谷由実または槇原敬之
70 〜演歌

若い人には、ジブリ音楽、ミドル世代向けは、ユーミンまたは槙原敬之特に性別などで分けることもあります。、20代〜40代にかけては非常に悩ましいため、当たり障りのないクラシック音楽を流しています。高齢者は、演歌一択!という具合に世代によってBGMを分けることで患者様の負担をなるべく軽減できるように検査を行っています。

MRI検査中に、演歌を流すのはどうなの?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は高齢者の方からは非常に好評です。
MRI検査終了後、「音楽、すごく良かったわ〜。」とよく言われることがあり、我々としても、予想外ではありましたが、患者様の緊張やストレス軽減の役に立てたことは嬉しい限りです。

また、当院では、MRI検査前室には、BGMに関してのお知らせを掲示しているため、患者様によって、音楽の希望などもあります。その時は、患者様の音楽アプリ(Amazon musicやYoutube musicなど)を使用し、Bluetoothで音楽を流します。

私が記憶している中で過去に希望があったアーティストは、

八代亜紀
島津亜矢
ビートルズ
BTS
Mr.Children(←感動して患者さん泣いてた)
マカロニえんぴつ

MRI検査という少し硬い検査ですが、皆さん満足されて検査室から退出される方、MRI装置の騒音が大き過ぎて音楽が聴こえなかったと言われる方とさまざまではありますが、我々としては患者様が心地よく安心して検査を受けていただけるように努力しています。

いかがでしょうか?

快適な空間でMRI検査を受けていただきたい我々の試みの一つとして、今回MRI室で流す音楽(BGM)について紹介いたしました。

最新のMRI装置では検査中に映画やアニメをみることもできたり、MRI検査特有の騒音を消してくれたりする技術を搭載してる装置など次々に改良された新たなMRI検査も増えてきました。

今回の記事では、画像診断の放射線技師や医師、または医療機器開発者の企業努力や裏側をご紹介できたのではないでしょうか?。
最後までご拝読ありがとうございます。
次の記事もお楽しみに。