食道閉鎖式エアウェイとは?CT画像を読む
このページでは、医師はもちろん、これから医師を目指す医学部生へ向けて有益な放射線専門技術の情報を発信していく会員向けページとなります。
症例提示や国家試験問題についての情報をお届けします。
今回は、食道閉鎖式エアウェイについてのCT画像を提示します。
心肺停止の状態で、救急搬送された患者さんのCT画像です。
口腔内にチューブが挿入されています。チューブは咽頭を通過し、先端は気管ではなく食道内に位置しています。チューブの先端にはバルーンがついており、食道内でバルーンが拡張しています。
一見すると食道挿管のようにもみえますが、気管挿管チューブとしては径がかなり太く、また短いです。これは気管挿管チューブの食道内迷入ではなく、食道内に挿入し、食道を閉鎖するために作られた食道閉鎖式エアウェイです。この部位に挿入されているのが正常であり、問題のある所見ではありません。
比較として、気管挿管用のチューブが誤って食道に挿管されているCT画像も提示します。相違点としてどういったものがあるでしょうか。
気管挿管用のチューブは食道閉鎖式エアウェイと比較して細く(内径8mm程度)、またX線確認用のワイヤーが辺縁に挿入されています。構造も単純です。
実際に患者さんを診察していれば間違うことはありませんが、画像のみを読影する放射線科医にとっては一見わかりづらく、食道挿管と勘違いしうる所見です。地味な所見ですが、しっかり把握しておきましょう。
今回は、食道閉鎖式エアウェイについて、画像を用いた症例でご紹介しました。
次回も医学的な観点から新たな画像症例を用いて様々な所見をご紹介したいと思います。