【連載】運動器の超音波検査 Vol.2「軟骨」観察のポイント
【連載】運動器の超音波検査 Vol.2
放射線技師として活動している高石です。
このコラムでは運動器超音波検査がどのようなもので運動器超音波画像がどのように見えるかなど症例を含めて紹介していきたいと思います。
前回は骨の超音波画像についてお話しました。Vol.1「超音波検査の基本」についてはこちらをクリック!
今回は軟骨の超音波画像についてお話したいと思います。
軟骨の超音波画像
軟骨とは、軟骨細胞とそれを取り囲む基質からなる結合組織で、ある程度の硬さと弾力性をもつと同時に、内部からの膨張によって成長できます。 軟骨は、骨と骨とをつなぐことで、運動や日常の動作によって骨が受ける衝撃をクッションのように吸収することが主な役割になります。
その軟骨ですが、大きく分けて関節軟骨である硝子軟骨と線維軟骨である半月板に分けられます。
超音波画像はどのように見えるでしょうか?
それぞれ見ていきたいと思います。
硝子軟骨(関節軟骨)の超音波画像
子軟骨は内部均一な媒質ですので、内部で超音波の反射がほとんどおこらず低エコーで均一な画像になります。
変形性股関節症の超音波画像
右の画像は変形性股関節症の患側の股関節軟骨の磨耗像です。
左側の健側と比較して、硝子軟骨の均一な低エコー帯がすり減っているのがわかります。
変形性股関節症では、帯状低エコー像を示す関節軟骨の磨耗が特徴的な画像になります。
線維軟骨(半月板)の超音波画像
線維軟骨である半月板は異なる走行の膠原線維で構成されているため、内部で超音波が反射し、等〜高エコー像を示します。
半月板断裂の超音波画像
こちらは線維軟骨である半月板の断裂の超音波画像です。
半月板の三角形の等〜高エコー像の中に線状の低エコー像を認めます。
半月板断裂の像です。
観察のポイント
硝子軟骨である関節軟骨も線維軟骨である半月板も、超音波での観察のポイントは
左右・正常との比較(患側と腱側を比較)ことが大切です。また、線維軟骨を観察する場合は、いろいろな方向に線維が走っているので、超音波の反射が乱れ、黒く低エコーになる異方性によるアーチファクトが出現する場合があるので注意が必要です。
※異方性アーチファクト
この画像は同じ人の超音波画像ですが、左の画像は深部まで半月板が観察できますが、右の画像は異方性のアーチファクトで全体的に黒くなっており、内部の観察ができず半月板が評価できていません。このように半月板の観察時には、異方性アーチファクトに注意する必要があります。
※異方性アーチファクトとは、実は運動器領域特有のアーチファクトです。靭帯や腱に対して、垂直に超音波が入射しないとおこるアーチファクトで、本来、高エコー(白くなる)で描出できるものが、垂直に入射していないと低エコー(黒くなる)となり、組織の断裂や欠損などの異常所見として間違ってしまうことです。
以上が軟骨(関節軟骨・半月板)の超音波画像の紹介になります。
軟骨の超音波画像はいかがでしたか?
観察するときはポイントに注意して観察してみてください。
次回は筋の超音波画像についてお話したいと思います。