消化管間質腫瘍(GIST)とは?見落としを防ぐ読影の知識

画像レッスンでは、あらゆる画像を確認しながら見落としてしまいそうな症例や診断についてを学んでいただくまなびの「場」です。

今回のレッスンはこちら▷「消化管間質腫瘍(GIST)」です。

消化管間質腫瘍「GIST(Gastrointestinal Stromal Tumor)」(※以下GIST)とは、胃や腸管の壁にできる腫瘍です。癌とは異なり、「肉腫」の一種です。癌と肉腫の違いとしては、癌は、皮膚や胃・腸の粘膜など上皮性の細胞から発生したもので、肉腫は、筋肉・線維・骨・脂肪・血管・神経など非上皮性の細胞から発生したものになります。

胃や腸管は、粘膜に覆われているため、いくつかの層の中で、固有筋層と呼ばれる層の中にあるカハール介在細胞が以上に増殖することで腫瘍化したものをGISTと言います。

国内では、年間1万人に1〜2人くらいの割合で発生し、特に50〜60歳代に多いことが特徴です。また、発生しやすい場所は、胃や小腸が多いです。

※カハール介在細胞とは、スペインの学者S. R. Cajalさんによって発見され、筋層内に存在する細胞であり、消化管運動のペースメーカーとも言われています。

こちらの下の画像はGISTがどこに発生するかがわかる画像になります。

それでは、消化管間質腫瘍を検出するためにはどういった検査方法があるかご紹介していきましょう。

GISTの検査方法とは?

一般的な検査方法には、内視鏡検査や消化管造影(バリウム)検査、CT検査やMRI検査といった画像診断方法があり、腫瘍が消化管壁の粘膜より下の筋層にあるか、周囲の組織に浸潤しているかなどの状況を検査によって調べます。

次に可能であれば、腫瘍の一部を採取して、KIT※もしくは他の消化管間質腫瘍特有の蛋白について調べた結果をもとに診断を行います。

※KIT:細胞膜に存在する受容体型チロシンキナーゼというたんぱくの一種。GISTは主に、KITの異常によって細胞が無秩序に増殖することで引き起こされます。

実際の画像がこちらになります。

この画像を注意深くみると、胃体上部前壁に径13㎝程度の境界明瞭で巨大な腫瘍があることがわかります。これが消化管間質腫瘍(GIST)です。

CT読影のポイント!(放射線技師・医師のワンポイント!)

(1)beak sign様の所見有無

(2)造影CT検査の平衡相で増強効果あり

beak signとは、胃と腫瘍との間にある嘴(くちばし)みたいな構造であり、

これが認められると、病変が胃由来であるということがわかります。

次の画像は、造影CTでの画像になります。

平衡相(180秒後)の造影CT

造影CTの画像では比較的均一な色調になることがわかります。腫瘍が増大するにつれ、色調が不均一になってくるという特徴があり、平衡相でコントラスト差がつきやすくなります。このように、CT検査を読影する際に先ほどのお伝えしたポイントをしっかりと確認しながら読影することが重要になります。

ご参考いただけましたでしょうか?

今回の画像は、GIST(消化管間質腫瘍)についてのご紹介でした。

次回も引き続きワンポイントレッスンをお楽しみに。