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【連載】運動器の超音波検査Vol.5 「靭帯」観察のポイント

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記事の監修医師

中山 善晴

【略歴】
熊本大学医学部卒業

【資格/役職】
放射線診断専門医 医学博士
株式会社ワイズ・リーディング 代表取締役兼CEO
医療法人社団 寿量会 熊本機能病院 画像診断センター長
熊本大学医学部 臨床教授

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放射線技師として活動している高石です。

このコラムでは、運動器超音波検査がどのようなもので運動器超音波画像がどのように見えるかなど症例を含めて紹介しているコラムです。

前回は「腱の画像を見る」ついてお話しました。以前の「腱」の観察ポイントについての記事はこちらをクリック!

今回は 「靭帯」観察のポイントについてお話したいと思います。

靭帯」の超音波画像

靭帯は骨と骨を連結する結合組織で、骨格の各部分をつなぎ、関節の運動を滑らかにしたり制限したりする、強い弾力性のある線維性の組織です。

腱ほど線維配列は規則正しくないのですが、長軸方向で線上高エコー像が配列したfibrillar patternを示します。

・前距腓靭帯長軸像

※黄色線:前距腓靭帯

腱のように索状構造を示さないので、腱より高エコーとなり周囲組織とコントラストの差が少なく観察がなかなか難しいです。

・前距腓靭帯短軸像

※黄色線:前距腓靭帯

こちらは短軸での靭帯ですが、黄色線の部位に靭帯があるのですが、短軸での観察は正常靭帯だと周囲の組織とのコントラストがほぼないため同定は困難です。

そこで靭帯の描出のポイントですが、

※前距腓靭帯長軸像、青線:それぞれ距骨と腓骨の靭帯付着部

靭帯付着部の骨はややへこんでいる(※)のでそこを正確に捉えることで靭帯の同定が可能になります。

観察のポイント

・靭帯線維の連続性 (断裂の有無)

・Fibrillar patternの有無や腫大の有無 (損傷や炎症の有無)

・左右比較(健側との比較)し左右差の有無 (異常所見の有無)

・付着部骨表の連続性 (付着部の剥離骨折の有無)

実際の症例

症例1 前距腓靭帯断裂

50代 女性

背景
スポーツ:バレーボール
練習試合にて相手スパイクをブロックして着地した際に向こう側の相手の足の上に着地してしまい外側に捻って受傷。

これは受傷側の前距腓靭帯の長軸像です。

前距腓靭帯は黄線です。

画像の左側が腓骨側、画像の右側が距骨側になります。
前距腓靭帯は腓骨付着部いて連続性の消失を認め、血腫と思われる低エコー(↑)を認めます。
周囲皮下組織は浮腫性変化を起こしており、ドプラにて血流の増生を認めます。
前距腓靭帯の完全断裂、足関節周囲炎です。

以上が「靭帯」観察のポイントの紹介でしたがいかがでしたか?

観察するときはポイントに注意して観察してみてください。

次回は「神経」のポイントについてお話したいと思います。