【連載】運動器の超音波検査 Vol.4
みなさん、こんにちは。放射線技師の高石です。
このコラムでは、運動器超音波検査がどのようなもので運動器超音波画像がどのように見えるかなど症例を含めて紹介しているコラムです。
前回は筋の超音波画像についてお話しました。
今回は腱の超音波画像についてお話したいと思います。
腱の超音波画像
腱は筋が骨に付着する部位の強靭な結合組織性線維束のことです。
筋によって生み出された力を骨に伝達する役目を持っています。
手の腱の場合、腱の周りは、「滑膜性腱鞘」に包まれています。「滑液包」とも呼ばれる袋状の組織で、そのなかには少量の滑液があり、腱の動きを滑らかにしています。
さらにその外側には、指を動かした際に腱や滑膜性腱鞘が浮き上がらないように、骨に押さえつける役割をしている「靭帯性腱鞘」があります。
それぞれどのような超音波画像になるかというと、
腱は膠原線維が同一方向に規則正しく配列していますのでfibrillar patternという細かい繊維状で等から高エコー像として観察できます。
腱の超音波画像
滑膜性腱鞘の超音波画像
腱を包むように低エコーの滑膜性腱鞘が見られます。
靭帯性腱鞘の超音波画像
腱と滑膜性腱鞘を骨に密着させる靭帯性腱鞘が外側に低エコーとして観察されます。
この滑膜性腱鞘や靭帯腱鞘は正常の方では薄いので観察できないことがほとんどです。
観察のポイント
・腱線維の連続性
・Fibrillar patternの有無
・左右比較(健側との比較)し左右差の有無
が観察のポイントとなります。
実際の症例
これは左の画像が腱断裂の症例です。右の画像は正常の腱の画像です。
腱の観察には腱線維の連続性があるのか、細かい繊維構造のFibrillar patternがあるかなど、左右比較し左右差がないかを捉えていくことになります。
正常画像をみますと腱の繊維構造との連続性が観察できるのに対して腱断裂の場合は腱の長軸画像で腱の不連続性を認めます。そして不連続部に血腫と思われる低エコーが介在してます。
こちらは腱鞘炎の症例です。
正常では腱鞘は薄いのでなかなか観察できませんが、
腱鞘炎の画像をみると靭帯性腱鞘が肥大しているのがわかると思います。
また、靭帯性腱鞘は等エコーとなり炎症を反映した画像となっています。
靭帯性腱鞘の炎症つまり腱鞘炎です。これにより腱の滑走が悪くなり、ばね指と呼ばれる指の曲げ伸ばしで弾発現象が出現することがあります。
以上が腱の超音波画像の紹介でしたがいかがでしたか?
観察するときはポイントに注意して観察してみてください。
次回は靭帯の超音波画像についてお話したいと思います。