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健診での胸の超音波検査(乳腺エコー)について|どのような異常が見つかるか

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記事の監修医師

坂田 悦郎

【略歴】
熊本大学医学部卒業

【資格/役職】
株式会社ワイズ・リーディング常勤医
放射線診断専門医
核医学専門医
PET核医学認定医

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乳がんをはじめとした乳腺の異常を調べる場合、超音波検査(乳腺エコー)やマンモグラフィを利用します。この記事では、超音波検査を中心に、マンモグラフィとの違いや押さえておくべきポイントを紹介します。

また、患者さんからのよくある質問についても併せて取り上げます。

乳腺の超音波検査について、見ていきましょう。

超音波検査の特徴

超音波(エコー)検査は、高周波の音波を利用して体内の構造をリアルタイムで観察する画像診断法です。乳腺超音波検査の主な特徴を以下にまとめます。

1. 非侵襲的で安全

超音波検査は、マンモグラフィと異なり被ばくすることがありません。非侵襲であり痛みもほとんどない検査方法です。

被ばくについては、マンモグラフィも極めて少ない放射線量のため健康への影響はほぼないと考えてよいものです。しかし、できるだけ被ばくを避けたい患者さんにとって超音波検査は適しています。

また、超音波検査は、マンモグラフィと違って痛みがなく、非侵襲的に検査ができる方法となります。乳房に炎症があるとそのせいで痛みを感じることはありますが、基本的に痛くない検査です。

2. 高分解能で軟部組織を詳細に描出

超音波検査は、組織の境目などで生じる超音波の反射を画像化する検査です。そのため、乳腺など軟部組織のコントラストを鋭敏に描出することができ、分解能に優れた検査となっています。

とりわけ、乳房組織内の嚢胞性病変(液体を含む病変)と充実性病変(腫瘍など)との区別がしやすいことが特徴です。

若い患者さんは高濃度乳腺(デンスブレスト)のケースがあり、マンモグラフィだと見つかりにくい病変も超音波検査で発見できる場合があります。

3. リアルタイム観察が可能

ドプラモード(ドップラー法)の超音波検査は、動画と同様、動きのある画像が抽出されリアルタイムの観察ができる検査です。よって、圧迫したときどのような変化が起こるか、血流はどうであるかの評価が可能です。

また、乳腺腫瘍の硬さを評価するエラストグラフィが活用される場合もあります。

こうした特徴は、医師が触診でしこりを見つけた場合、それが本当に腫瘍なのか否かをリアルタイムで精査できることにつながります。

4. 微細な病変の発見には限界がある

超音波検査の弱点も見ていきましょう。

カルシウム(石灰化)の評価は、超音波検査よりマンモグラフィの方が向いています。石灰化が乳がんの初期所見となる場合もあるので、超音波検査とマンモグラフィは互いに補完的な使い方をすることが重要です。

また、検査者が超音波検査で安定的な画像を描出できるようになるためには、十分なトレーニング期間が必要です。つまり、検査者の技量に依存する側面があり、検査者間で再現性に問題が生じるケースもあります。

この点でも、ある程度、安定的な画像描出が可能であるマンモグラフィとの補完的な利用で、見逃しを防ぐことが大切になるでしょう。

超音波検査とマンモグラフィ、どちらを選ぶべきか

乳がん検診では乳腺超音波の他にマンモグラフィも用いられます。どちらを選ぶべきかは、年齢・乳腺の性質・検診の目的によって異なります。こうした選び方を見ていきましょう。

なお、乳腺超音波とマンモグラフィの違いを以下の表にしましたので、併せてご覧ください。

比較項目乳腺超音波マンモグラフィ
基本原理高周波の音波を利用して画像化X線を利用して乳腺組織を撮影
放射線被ばくなしあり(低線量)
適応年齢全年齢(特に高濃度乳腺の評価に有効)40歳以上(乳癌検診で推奨)
描出しやすい病変嚢胞、腫瘍、乳腺症などの軟部組織病変石灰化、腫瘍の構造や脂肪成分の評価
苦痛・圧迫なし(ほぼ無痛)あり(乳房の圧迫が必要)
石灰化の描出不得意(石灰化の検出は困難)得意(微細石灰化も検出可能)
病変の形状評価境界や内部構造を詳細に評価できる組織の密度差を評価できる
リアルタイム性あり(リアルタイム観察可能)なし(静止画像)
検査者依存性高い(技量による差が大きい)低い(客観的な評価がしやすい)
費用やや安価やや高価
検査時間やや長め(10~15分)短時間(5~10分)

1. 年齢と乳腺の状態で選ぶ

ここでは、患者さんが40歳以上と40歳未満の場合に分けて、選び方を取り上げます。40歳以上の場合は乳腺が脂肪性となっているケースが多く、40歳未満は高濃度となっているケースが多いためです。

40歳以上(脂肪性乳腺が多い場合)

結論からいうと、40歳以上の患者さんにはマンモグラフィが推奨されます。

加齢によって乳腺組織の脂肪化が進むと、マンモグラフィで乳腺内の腫瘤を鋭敏に見つけられるようになります。特に石灰化を有する早期乳がん、とりわけ非浸潤がんの発見に有効です。

日本乳癌学会でも、40歳以上の女性に対しては、マンモグラフィを推奨しています。

40歳未満(高濃度乳腺の場合)

40歳未満の場合、乳腺超音波検査が有効です。

若年層では乳腺が高密度であるため、マンモグラフィでは正常の乳腺組織に埋もれて腫瘍が見えにくい場合があるからです。

また、嚢胞など石灰化のない病変の検出に優れる点や、放射線被ばくがない点もポイントとなるでしょう。

2. 補完的な検査としての活用

このように、年齢によって推奨される検査方法に違いが出てきますが、前述したように超音波検査とマンモグラフィは互いに補完的な使い方をすることも大切です。ここでは、補完的に併用する場合の事例を見てみましょう。

まず、40歳以上の患者さんでも高濃度乳腺(デンスブレスト)の方は乳腺超音波を併用することが望ましいです。40歳以上の場合でも、乳腺が高濃度であると、マンモグラフィ単独では病変を見逃すリスクがあるためです。

一方、マンモグラフィが苦手だという患者さんもいます。乳房を圧迫しなければならないため、その際の痛みが苦手だという患者さんです。患者さんの理解を得る、生理前のマンモグラフィ検査を避けるなどの工夫をしたいところですが、どうしても避けたいという場合は乳腺超音波で代替する場合もあります。

検査の手順

乳腺超音波検査は所要時間も短く、痛みもないため安心して受けられる検査です。手順を見ていきましょう。

①体勢
検査台に仰向けに寝る。
両手を頭の後ろに組み、乳房が広がるようにする。乳房にエコーゼリーを塗布する。

② プローブ(探触子)の操作
検査者が超音波プローブを乳房の表面に当て、滑らせながら動かす。
乳房全体および腋窩(脇の下)をスキャンし、異常の有無を確認。

③ 画像の確認、診断
超音波画像にて、しこり(腫瘤)、嚢胞、石灰化などをチェック。
必要に応じて、ドップラーを用いて血流を評価。

終了後、エコーゼリーを拭き取れば、通常の生活に戻ることができます。

エコー画像の見方

撮影された画像では、脂肪は黒く、乳腺組織は白くみえます。乳癌などの病変は大半が黒く見え、乳腺組織との間にコントラストがつくようになっています。

超音波検査でも有効な遠隔画像診断

大規模病院では検診業務において読影医の確保が難しく、クリニックなどでは乳腺超音波に熟練した医師や技師が不足しているケースがあります。

こうした課題に対応するため、遠隔画像診断は有効な選択肢の一つです。特に超音波検査においても、遠隔読影の活用により診断精度の向上が期待できます。

ワイズ・リーディングには、乳腺超音波の読影経験が豊富な専門医が在籍しており、質の高い診断を提供可能です。

超音波検査の特徴は痛みがなく、被ばくのおそれもないこと

超音波検査は乳腺診断において重要な役割を果たしており、特に若年者の検査に強みがあります。

マンモグラフィと組み合わせて乳がん検診に広く用いられており、両者の併用や使い分けが重要です。

乳腺超音波検査も遠隔画像診断が可能ですので、ぜひご利用を検討ください。