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放射線診断専門医になるには?資格取得までの流れと仕事内容・平均年収は?

放射線科の医師には、以下の3つの専門資格があり、そのうちの一つが「放射線診断専門医」です。

  • 放射線科専門医
  • 放射線診断専門医
  • 放射線治療専門医

一言でいえば「読影のプロフェッショナル」ですが、もちろん読影だけをしているわけではありません。

この記事では、放射線診断専門医の役割や向いている人、放射線診断専門医になるまでの流れや働き方までを解説します。

放射線診断専門医とは

放射線診断専門医とは、放射線科の医師のなかでも、CTやMRIなどの検査機器で撮影した医用画像の読影や、IVR(Interventional Radiology)と呼ばれる治療に精通した専門医です。

画像の読影だけでなく、部位やシーンに応じた撮像の方法、造影剤の投与や、副作用が生じた場合の対応なども担当します。

放射線治療専門医との違い

前述のとおり、放射線診断専門医とは別に「放射線治療専門医」と呼ばれる資格も存在します。

どちらも放射線科専門医のうちの分類ですが、両者の働き方は大きく異なります。

放射線治療専門医は、外来や病棟を受け持って診察にあたることが多く、一般的に医師としてイメージされる働き方に近い一方、放射線診断専門医の場合は直接診療を行うケースは稀です。

放射線診断専門医は、デスクに座って画面上の画像と向き合い、患者の置かれている状況や病変を判断して所見を提供することが主な仕事となります。

放射線診断専門医に向いている人の特徴

画像診断においては、膨大な量の医用画像を読み解き、些細な病変や違和感を探りあてるため、観察眼や分析力が求められます。

上記の観点からは、細かいところまで目が行き届き、わずかな違いにも気づけるような方が放射線診断専門医に向いているといえるでしょう。

また、医療機器の進化に伴い、撮影可能なデータ量も増えており、ときには一人の患者から数百枚ものスライス画像が提供されるケースもあります。

連続して数十件の患者の画像診断を行うこともありますが、疲労の中でも高い集中力をもって医用画像に向き合う忍耐がある方に向いています。

⚫︎関連記事:放射線科医と放射線技師の役割と違い|よくあるコミュニケーションの齟齬とは?

放射線診断専門医になるまでの流れ

続いて、放射線診断専門医になるまでの流れについて紹介します。

医師免許を取得する

まずは医師免許を取得するところから、医師としてのキャリアがスタートします。

主な要件は、6年制大学医学部医学科を卒業、または卒業見込みであることや、医師国家試験予備試験に合格し、その後1年以上の診療および公衆衛生に関する実地修練を経ていることなどです。

放射線科専門医試験の受験資格を満たす

放射線診断専門医になるには、放射線科専門医として認められる必要があります。

初期研修2年後、総合修練機関または修練機関にて3年以上の放射線科研修を受けることで、放射線科専門医の受験資格が得られます。

ただし、最低1年間は総合修練機関において研修指導医のもとで臨床研修することとされており、大学院生・研究生は在学期間の一部、または全部が研修期間として認められます。

また、申請時において3年以上放射線学会正会員であることという要件も設けられています。

放射線科専門医の資格を取得する

上記の要件を満たしたうえで、試験を受験して合格すると、日本医学放射線学会の放射線科専門医として認められます。

試験問題は診断・核医学・治療などの分野より出題され、放射線科の医師としての総合的な知見が必要です。

放射線診断専門医認定試験の受験資格を満たす

放射線科専門医の資格取得後、2年間学会が認定する総合修練機関、または修練機関において、画像診断学・核医学・IVRの研修を受けることで、放射線診断専門医の認定試験の受験資格が得られます。

試験の内容は、放射線診断学・核医学・放射線安全管理などの分野が中心です。

放射線診断専門医の資格を取得する

上記の流れで、認定試験に無事合格すると、放射線診断専門医としての認定が受けられます。

つまり、初期研修も含めると最短6年目に放射線科専門医、最短8年目に放射線診断専門医を目指すことが可能です。

なお、放射線診断専門医の資格は、5年ごとの更新が必要となっています。

放射線診断専門医の仕事内容

放射線診断専門医は、CT・MRI・X線などの画像から病気の有無や重症度を判断し、診療の方向性を決める役割を担う医師です。

腫瘍・感染症・脳血管障害・外傷など多岐にわたる病態を画像から読み解き、見落としの許されない精密な鑑別診断を行います。

救急では脳出血や大動脈疾患など、数分で判断が患者の生死を左右するケースもあり、スピードと精度の両方が求められます。

診断結果は読影レポートとして主治医に届けられ、手術の要否や治療法の選択といった重要な意思決定の基盤となります。

また、カンファレンスへの参加や検査プロトコルの改善提案など、医療チームの一員として現場の医療品質向上にも貢献します。

縁の下で医療を支えつつ、患者の未来を左右する“診断のプロフェッショナル”――それが放射線診断専門医の仕事です。

医用画像の読影

医用画像の読影は、CT・MRI・X線・超音波などの画像をもとに、病態生理や解剖、検査の背景を踏まえて診断を組み立てる専門的な作業です。

画像に写る形や濃度、信号の変化、周囲組織との関係を丁寧に読み取り、臨床情報と合わせて鑑別診断の優先順位を整理していきます。

特に急性期では、わずかな濃度差や小さな変化にも注意を払い、救急対応につながる重要なサインを早期に見つけることが求められます。

また、必要に応じて追加撮影や再構成を提案するなど、検査の最適化にも関わります。

最終的にまとめられた読影レポートは、治療方針を決めるための大切な情報源となり、臨床医の意思決定を支える役割を担います。

読影とは、ただ画像を確認するだけでなく、医療全体の質に直結する“診断の中核”を担うプロセスなのです。

⚫︎関連記事:読影とは? 放射線科医として30年以上の専門医が伝えたい基本、課題、遠隔読影

⚫︎関連記事:放射線診断専門医による読影レポートには何がかかれているのか?

核医学検査

例えば核医学検査では、PETやSPECTにより臓器の代謝・血流・受容体機能を可視化できる機能診断をします。

放射線診断専門医は、FDG-PETによる腫瘍の糖代謝評価や、心筋血流SPECTでの虚血・バイアビリティ評価、脳血流SPECTでの神経疾患評価など、モダリティ固有の集積パターンを解析します。

さらに、PET/CTやPET/MRIでは形態情報と機能情報を融合して精密な総合診断を提供し、検査適応の判断、RI投与量・撮像プロトコルの最適化、減弱補正・再構成法の選択、放射線防護管理も専門医の重要な役割です。

日本核医学会の核医学専門医やPET核医学認定医の資格取得により、高度な読影・定量評価(SUV解析、PERCIST基準など)や治療効果判定も行います。

放射線診断専門医の働き方

放射線診断専門医は、病院の勤務医として働くほかに、フリーランスや正社員で遠隔画像診断会社の読影医として働く道もあります。

以下では、それぞれの働き方の違いについて紹介します。

病院の勤務医として働く場合

クリニックや病院などの医療機関に所属し、勤務医として働く場合、主治医と連携して画像診断やIVRなどを行います。

なお、常勤医ではなく、非常勤の医師として特定の日や時間のみ出勤する働き方も可能です。

放射線診断専門医は直接的に診療を行うケースは少ないですが、施設によっては、当直医として緊急IVRや病棟管理を担当することもあります。

遠隔画像診断会社の読影医として働く場合

読影業務はPCと画像データさえあればできるため、かならずしも病院で勤務する必要はありません。

遠隔画像診断会社の読影医としてオフィスで働いたり、フリーランスの読影医として在宅ワークをしたりする働き方もあります。

コロナ以降、一般企業では在宅ワークが浸透しつつありますが、医師にとって在宅勤務ができるポジションは希少であるため、放射線診断専門医ならではの働き方として注目されています。

⚫︎関連記事:在宅遠隔読影は放射線科医の新たな働き方?医師のリモートワークの普及と課題

放射線診断専門医の年収

労働政策研究・研修機構の2012年の調査によると、放射線科医の平均年収は1,103万円との結果でした。

また、リクルートドクターズキャリアが公表している、医療施設ごとの年収データによると、大学や国公立の病院に比べて民間病院の方が年収帯が高い傾向にあります。

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