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病院経営が赤字になるのはなぜ?経営難の理由・割合から対策を考える

病院経営の赤字が、いま大きな社会課題になっています。

厚生労働省や日本病院会の調査では、全国の病院の7割前後が赤字という数字が示され、診療報酬の改定や人件費の増加、コロナ補助金の終了など、病院経営を取り巻く環境は大きく変化しています。

医療の質を守りながら、収支をどう立て直すかは、多くの病院に共通する悩みです。

本記事では、病院が赤字に陥る理由や割合をデータから整理し、経営状況を測る財務指標の見方、さらに現実的な対策までをわかりやすく解説します。

赤字経営となっている病院の割合

厚生労働省が2025年11月に発表した医療経済実態調査によると、全国の一般病院の72.7%が赤字という結果でした。

一般病院は20床以上の病床を持つ医療機関を指し、大学病院や地域の中核病院も含まれます。

7割を超える病院が赤字という数字は、医療現場の運営基盤が大きく揺らいでいることを示しています。

日本病院会の調査でも同様の傾向がみられ、2023年には医業利益が赤字の病院が64.8%、経常利益では50.8%でしたが、2024年にはそれぞれ69.0%、61.2%へと悪化しました。

診療報酬改定や物価上昇、人件費の増大などが重なり、病院経営は厳しさを増しています。

赤字の拡大は、地域医療の縮小や医療従事者の処遇悪化にもつながりかねず、個々の病院の問題ではなく、医療提供体制全体の持続性に関わる課題といえます。

病院経営が赤字となってしまう理由

病院の多くが赤字化している背景には、さまざまな課題が存在しますが、とくに影響が大きいのは、コロナ補助金の終了、人件費・委託費の増加、病床利用率の低下の三つです。

コロナ補助金の縮小・終了

コロナ禍において、感染対策や医療提供体制の維持を目的に創設された「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」は多くの病院の収入を下支えしました。

しかし、新型コロナウイルス感染症の5類移行後は段階的に縮小され、2024年3月に原則終了しています。

設備投資や人員配置の前提に組み込まれていた病院などでは、補助金の終了後に収支ギャップが生まれ、赤字化したような事例もみられます。

人件費・委託費などの経費増加

病院は、典型的な労働集約型のビジネスモデルで、人件費比率が50~60%に達する施設も珍しくありません。

とくに医師や看護師、診療放射線技師など、専門職の確保は年々難しく、給与水準や派遣・外注費が上昇しています。

人手不足による長時間労働から、離職を通じてさらなる採用コストが生まれるケースも多く、収益が横ばいでも支出が膨らんで赤字化するケースもあります。

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病床利用率の低下

近年では、医療の高度化や早期退院の推進により、平均在院日数は短縮傾向です。

福祉医療機構のデータでは、2023年度の平均在院日数は17.7日だったところ、2019年度から0.5日短くなりました。

入院期間が短く済むことは、患者にとっては望ましい変化ですが、病院側は入院収益への逆風といえます。

病床が空いたとしても、建物維持費や人件費は大きく減らず、固定費型の赤字が生じることもあるでしょう。

病院の経営状況を測るうえで活用できる財務指標

年々、病院経営が厳しくなる中で、経営改善を図るには、客観的な指標による現状把握が欠かせません。

たとえば、医業収支比率・人件費比率・材料費比率・病床稼働率などが代表例で、これらは経営状況や課題を示す重要な物差しとなります。

以下では、病院の経営状況を測るうえで活用できる財務指標について解説します。

医業収支比率

医業収支比率 = 医業収益 ÷ 医業費用 × 100(%)

医業活動そのものが黒字か赤字かを示す、最も重要な指標です。100%を下回ると医業赤字、上回れば医業黒字となります。

この比率が低い場合、診療単価の不足や人件費の過大、材料費の高騰など複数の要因が考えられます。

人件費比率

人件費比率 = 人件費 ÷ 医業収益 × 100(%)

医業収益に対して人件費がどれだけを占めているかを示します。

一般的に50~60%前後が多いとされますが、機能や規模で適正水準は変わります。

比率が高すぎる場合は、配置基準の見直しやタスクシフト、業務の外部委託の適正化が検討されますが、極端に低い場合は人手不足による医療安全リスクも考えられるため、単純な削減指標ではありません。

材料費比率

材料費比率 = 材料費 ÷ 医業収益 × 100(%)

薬剤・診療材料・検査試薬などのコスト水準を表します。

高度急性期ほど高くなりやすく、同規模・同機能の病院との比較が有効です。

高値が続く場合、共同購入や在庫管理の見直し、同種同効品への切替などが検討されます。

病床稼働率

病床稼働率 = 在院患者延数 ÷(許可病床数 × 日数)× 100(%)

入院収益の土台となる指標で、稼働率の低下はそのまま収益悪化につながります。

急性期病院では80~90%が一つの目安とされます。

稼働率が低い場合、紹介連携の弱さや在院日数の短縮、診療科のミスマッチなどが要因として考えられます。

病院の経営状況を改善するための対策

病院の経営状況を改善するうえでは、集患の最大化とコストの削減が重要です。

以下では、病院の経営状況を改善するための対策について解説します。

病院経営における課題点を特定する

まずは病院経営における課題点の特定です。

部門別原価やDPCデータを用い、採算のボトルネックを把握したうえで、どのような解決策が考えられるかを検討しましょう。

経費・コストを削減する

経費・コストの削減においては、共同購入、在庫適正化、契約見直しなどが基本策となります。

一方、医療安全を確保するうえで必要な消費も少なからず存在するため、削減できる箇所を選定することが重要です。

業務の効率化・省力化を図る

限られたリソースを有効に活用するうえで、業務の効率化・省力化を図る方法もあります。

電子カルテ連携や予約最適化、画像診断フロー改善により、本来の業務に集中できる環境を整えましょう。

集患のための施策に取り組む

コストを削減すると同時に、患者数を最大化させることも欠かせません。

地域連携や専門外来の強化、適切な情報発信など、集患のための施策にも並行して取り組みましょう。

病院経営を改善させる一手となる遠隔画像診断

人件費増と専門医不足が続くなか、遠隔画像診断の導入は現実的な打開策の一つです。

常勤の放射線科医が不在でも専門読影体制を構築でき、医療の質の向上はもちろん、同時に業務効率化も実現可能です。

読影業務の平準化は検査回転率を高め、医師の負担軽減にも寄与します。

働き方改革や離職防止の観点からも有効で、外注費の最適化と合わせて総合的な経営改善効果が期待できるでしょう。

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