女性も扱いやすい医療機器を|放射線技師が抱える負担から考える
皆さんこんにちは。ラジエーションジャーナル編集部の林です。
先月の9月30日、大阪商工会議所が各メーカーを招き、女性医師から医療機器の開発における意見交換の会合を開いたそうです。会の目的としては、現在の医療機器は男性を基準に設計された商品が多いため、女性も扱いやすい機器の開発を促すためのようです。
近年の医療機器の技術革新は凄まじいものがあると言えます。特にAI(人工知能)関連に関しては各メーカーが力を入れている部分です。放射線機器関連も「医療機器」の開発が進み使用者の安全や快適さ、機器の軽量化や操作性の向上が求められています。
性差を考慮した放射線機器の重要性
診療放射線技師としての業務には、高度な技術だけでなく、機器の正確な操作や患者の安全確保が重要です。例えば、MRI撮像で使用するコイル。検査部位に合わせたコイルを寝台に設置しなければなりませんが、かなり重量があるコイルも少なくありません。当院では16年前の装置と8年前の装置、2台のMRI装置を設置し運用していますが頭頸部用コイルの重さの違いは歴然です。
‐当院の頭頸部用コイル‐
およそ4倍も違います。このように重量があり、設置場所や機器の移動が必要な場合、女性技師にとっては負担が大きいこともあります。また、操作パネルやスイッチの配置が女性の為に合わない場合もあり、快適な使用が難しいこれらの課題を解決するために、放射線機器の開発においても、性差を考慮したデザインや技術が導入され始めています。
みんなが活躍できる放射線機器の未来
医療現場でのジェンダー平等が実現し、女性技師がストレスなく働ける環境が整備されることで安心して機器を操作可能となり、女性だけでなく放射線技術者全体のパフォーマンス向上に繋がります。「女性も扱える医療機器」は、特に放射線機器の分野でも重要なテーマです。軽量化や操作性向上、エルゴノミクスデザインの採用により、限りなく誰もが快適に使用できる環境が整いつつあります。技術の進歩に伴い、女性が医療機関で活躍できる環境が一層前進することが期待されています。