国家試験の今と昔

ラジエーションジャーナル編集部、診療放射線技師の林です。
年も明け、もうすぐ年度末です。一年が過ぎるのは早いものですね。
この時期になると思い出すのが国家試験。私が挑んだのが約17年前ですがあの緊張感は今でも覚えています。
今回は国家試験について、今と昔ではどんな風な変化があったのかなど記載してみようと思います。

1. 試験内容の進化

(1) 技術の進歩による出題範囲の拡大

過去の試験では、X線撮影技術や基礎的な放射線物理学が中心でした。しかし、医療技術の進歩に伴い、デジタル画像処理(DICOM形式、PACSなど)の基礎やAIを用いた画像診断支援や画像解析の仕組みなどの内容が試験範囲に加わるようになりました。

(2) 放射線防護と安全管理の重視

2020年より線量記録が義務化されたことなどで放射線技師は放射線防護の責任を負うため、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準に基づく知識が試験で強調されています。被ばく線量の管理、患者や医療従事者を守るための具体的な防護策がより詳細に問われるようになりました。

(3) 医療倫理と法規の増加

個人情報保護法や医療法、インフォームドコンセントや患者の権利に関する知識や医療事故防止のためのリスク管理に関する医療倫理や法規制に関する知識も重要視されています。

2. 試験形式の変化

今年より試験科目が14項目から11項目に減少しますが、問題形式には多様性があります。例えば、近年診断能力も問われる問題が増えてきている傾向があり、以前と比べると実際の画像を用いた問題が増えています。そのほか診療放射線技師法の改訂関連で放射線機器の保守や被ばく管理に関する知識も出題されるようになっています。

出題総数は200問、合格基準は正答率60%で従来と変わらないようですが、問題内容がより臨床に近づいた内容になっている印象です。診療放射線技師の静脈注射などのタスクシェアやSTAT画像報告の推奨活動などの新しい業務に反映した問題形式になっているのでしょうか。

まだまだ寒い季節は続きますが、試験を受ける学生さんたちには体調には気をつけて頑張って欲しいものです。

次回もお楽しみに。

参考資料、引用
ジョブメドレー 【2025年】第77回診療放射線技師国家試験の日程と概要、過去の結果と合格率