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令和8年度診療報酬改定|画像診断・遠隔読影に関わる変更点を解説

令和8年度診療報酬改定では、賃上げ・物価対応、人手不足への対応、医療DXの推進、医療提供体制の再構築などが重要なテーマとなっています。

画像診断領域では、CT・MRI撮影料の見直しや、画像診断管理加算に関する変更が行われました。とくに、128列以上CTの区分新設、3テスラ以上MRIの増点、画像診断管理加算2における一部委託の評価は、画像診断・遠隔読影に関わる医療機関にとって確認しておきたいポイントです。

一方で、診療報酬改定は点数だけを追うのではなく、施設基準や届出、実際の運用フローまで含めて確認する必要があります。

この記事では、令和8年度診療報酬改定のうち、画像診断・遠隔読影に関わる主な変更点を整理し、医療機関が見直したいポイントについて解説します。

今改定の全体像

令和8年度診療報酬改定は、医療機関を取り巻く経営環境の変化に対応しつつ、将来の医療提供体制を整えるための改定と位置づけられます。

とくに、物価や賃金の上昇、人手不足への対応が重点課題とされ、医療従事者の処遇改善やICT・AIの活用、医師の働き方改革などが幅広く議論されています。

画像診断領域でも、CT・MRIなどの高額医療機器の評価や、放射線科医による読影体制のあり方が重要になります。

そのため、今回の改定では、単に点数の変更を確認するだけでなく、自院の検査機器、施設基準、読影体制、遠隔読影の活用状況まで含めて見直すことが大切です。

改定の4つの重点課題

令和8年度診療報酬改定では、医療機関等を取り巻く環境変化への対応が大きな柱となっています。

具体的には、物価や賃金、人手不足への対応に加え、2040年頃を見据えた医療提供体制の構築、医療の質や安全性の向上、制度の安定性・持続可能性の確保などが基本的な視点として示されています。

これらは画像診断領域とも無関係ではありません。

たとえば、放射線科医の不足、診療放射線技師の業務負担、CT・MRI装置の維持コスト、読影レポートの品質管理などは、いずれも医療機関の運営に直結する課題です。

画像診断・遠隔読影が注目される理由

画像診断は、救急医療、がん診療、術前評価、健診・ドックなど、幅広い診療領域を支える基盤です。

一方で、CT・MRI検査の増加に対して、読影を担う放射線科医の確保が追いつかない医療機関も少なくありません。

そのため、院内の常勤医だけで読影体制を維持することが難しくなり、遠隔読影や外部専門医の活用が現実的な選択肢として注目されています。

今回の改定では、画像診断管理加算2において一部委託を行う場合の評価が新設されました。施設基準や委託割合などの要件確認は必要ですが、遠隔画像診断を含めた読影体制の見直しが進むきっかけになるでしょう。

⚫︎関連記事:遠隔画像診断とは?サービス内容や料金など押さえておきたいポイントまとめ

CT・MRI撮影料の点数変更

令和8年度診療報酬改定では、CT撮影料とMRI撮影料の一部が見直されています。

以下は、画像診断領域で確認しておきたい主な変更点です。

項目改定前改定後
CT撮影:128列以上マルチスライス型・共同利用施設新設1,120点
CT撮影:128列以上マルチスライス型・その他施設新設1,100点
MRI撮影:3テスラ以上・共同利用施設1,620点1,720点
MRI撮影:3テスラ以上・その他施設1,600点1,700点

CTでは、128列以上のマルチスライス型機器による区分が新設されました。

MRIでは、3テスラ以上の機器による撮影が100点引き上げられています。

いずれも高性能な画像診断機器の活用を評価する内容ですが、算定には施設基準や届出の確認が欠かせません。

CT撮影料の変更(128列以上マルチスライス型の新設)

CT撮影では、128列以上のマルチスライス型機器による区分が新設されました。

これまで64列以上の区分で評価されていた高性能CTについて、より細かく評価する形になっています。

128列以上CTは、広範囲を短時間で撮影しやすく、心血管領域や救急領域などで活用されることがあります。

一方で、機器を保有しているだけで自動的に算定できるわけではありません。

施設基準、届出状況、共同利用の有無などを確認し、自院がどの区分で算定できるかを整理する必要があります。

共同利用施設:新設 1,120点

128列以上CTを共同利用施設で撮影する場合は、1,120点が設定されています。

共同利用施設として評価されるには、他医療機関からの依頼を受けて撮影を行うなど、地域の医療機関と連携した運用が前提になります。

高額な画像診断機器を地域全体で有効活用するという観点から、共同利用は今後も重要なテーマになるでしょう。

ただし、共同利用として運用する場合は、紹介予約、検査前確認、画像データ共有、読影結果の返却フローまで整備しておく必要があります。

その他施設:新設 1,100点

共同利用施設以外で128列以上CT撮影を行う場合は、1,100点が設定されています。

共同利用施設との差は20点ですが、検査件数が多い医療機関では年間の収益に影響する可能性があります。

そのため、128列以上CTを保有している施設では、共同利用の実績や今後の受け入れ方針も含めて確認するとよいでしょう。

撮影料の見直しをきっかけに、地域連携の強化や検査枠の活用方法を見直すことも大切です。

MRI撮影料の変更(3テスラ以上で+100点)

MRI撮影では、3テスラ以上の機器による場合の点数が100点引き上げられました。

共同利用施設では1,620点から1,720点へ、その他施設では1,600点から1,700点へ変更されています。

3テスラMRIは高精細な画像を取得できる一方で、導入費用や保守費用、検査運用にかかる負担も大きくなります。

今回の見直しは、高性能MRIを用いた画像診断の価値を一定程度評価する内容といえるでしょう。

一方で、点数の引き上げだけを見るのではなく、検査枠、技師体制、読影体制まで含めて運用を最適化することが重要です。

共同利用施設:1,620点 → 1,720点

3テスラ以上MRIを共同利用施設で撮影する場合は、1,720点に引き上げられました。

共同利用施設としてのMRI運用は、地域の医療機関に高度な画像診断へのアクセスを提供する意味があります。

とくに、近隣の診療所や中小病院が高性能MRIを保有していない地域では、共同利用の価値が高くなります。

一方で、紹介予約や検査結果の返却、読影レポートの共有に時間がかかると、紹介元医療機関の満足度に影響します。

点数改定を機に、共同利用の運用フローを見直すことがおすすめです。

その他施設:1,600点 → 1,700点

共同利用施設以外の3テスラ以上MRI撮影では、1,700点に引き上げられました。

高性能MRIを日常診療で活用している施設にとっては、撮影料の増点が経営面で一定のプラスになります。

ただし、MRI検査は撮影時間が長くなりやすく、検査枠の設計や患者説明、読影レポート作成まで含めた負担も考慮する必要があります。

検査件数が増えるほど、放射線科医や診療放射線技師への負担も大きくなりやすいため、読影体制の見直しもあわせて行うとよいでしょう。

共同利用施設の要件と届出の注意点

共同利用施設として算定するには、所定の施設基準に適合し、地方厚生局等へ届出を行う必要があります。

CT・MRI撮影料では、機器性能だけでなく、共同利用の実績や施設基準への適合状況が算定に関わります。

そのため、改定後は自院のCT・MRI装置のスペック、届出状況、共同利用の受け入れ状況を整理しておくことが重要です。

また、届出内容と実際の運用にずれがあると、算定漏れや返戻につながる可能性があります。

医事課、放射線科、診療放射線技師、システム担当が連携し、改定後の算定区分を確認しておきましょう。

⚫︎関連記事:画診共同の仕組みと診療報酬の算定方法|導入手順と注意点も紹介

画像診断管理加算・遠隔読影の変更点

画像診断管理加算では、遠隔画像診断に関する重要な見直しが行われました。

とくに注目されるのが、「画像診断管理加算2(一部委託を行う場合)」166点の新設です。

これは、画像診断管理加算2の届出を行う医療機関が、画像診断管理加算2〜4の届出を行う医療機関に委託して遠隔画像診断を実施する場合の評価です。

ただし、すべての遠隔読影委託に一律で適用されるものではありません。

送信側・受信側それぞれの施設基準、委託割合、常勤医師による読影、文書報告など、複数の要件を確認する必要があります。

画像診断管理加算1・2・3の改定前後比較

画像診断管理加算は、放射線科医による画像診断の質や管理体制を評価する加算です。

今回の改定では、画像診断管理加算2について、一部委託を行う場合の評価が新設されました。

以下は、実務上おさえておきたい考え方です。

項目改定のポイント
画像診断管理加算1従来どおり、自院の読影管理体制を評価
画像診断管理加算2一部委託を行う場合の評価が新設
画像診断管理加算3・4受信側医療機関として施設基準との関係を確認

なお、企業型の遠隔画像診断サービスを利用している医療機関では、今回の加算がそのまま適用されるとは限りません。

病院間の遠隔画像診断として算定できるかどうかは、施設基準や契約形態を個別に確認する必要があります。

専従・専任要件の変化と届出への影響

画像診断管理加算2では、従来「他施設へ読影又は診断を委託していないこと」が要件に含まれていました。

改定後は、遠隔画像診断を行うために他施設へ委託する場合であって、核医学診断およびコンピューター断層診断のうち、読影または診断を委託した割合が2割以下であれば、この限りではないとされています。

この変更により、自院の常勤医師による読影体制を基本としながら、一部を外部医療機関へ委託する運用が検討しやすくなります。

一方で、委託割合の管理や報告期限、受信側施設の基準確認など、運用上の管理項目は増えるでしょう。

AI読影支援・遠隔読影サービスへの影響

今回の改定は、画像診断領域における医療DXや読影体制の見直しを後押しする内容です。

ただし、診療報酬上で評価されている中心は、現時点ではAIそのものではなく、専門医による読影体制、文書報告、施設基準、医療機関間連携です。

AI読影支援は、病変検出やトリアージ、読影業務の効率化に役立つ可能性があります。

一方で、最終的な診断責任やレポート作成、患者への説明は、引き続き医師の関与が前提になります。

AIと遠隔読影を組み合わせる場合も、診療報酬上の要件と実際の運用が一致しているかを確認することが大切です。

⚫︎関連記事:AIが読影する時代に、技師の“責任”ってどうなるの?画像診断AIの現状と課題

診療報酬上のAI評価の現状

画像診断AIは、読影支援ツールとして注目されています。

しかし、AIを導入しただけで独立した診療報酬評価につながるわけではありません。

現場では、AIが提示した情報を医師がどのように確認し、診断やレポートに反映するのかを明確にする必要があります。

そのため、AIは単独で収益を生む仕組みというより、読影体制の効率化や医療安全を支える補助的な技術として考えるのが現実的です。

導入時には、診断精度だけでなく、責任範囲、ログ管理、レポート作成フローも確認しましょう。

契約・運用の見直しが必要になるケース

遠隔画像診断を外部に委託している医療機関では、今回の改定を機に契約内容や運用フローを確認する必要があります。

とくに、委託先が画像診断管理加算2〜4の施設基準を満たしているか、受信側の常勤医師が読影しているか、委託割合が要件内に収まっているかは重要な確認項目です。

また、企業型の遠隔読影サービスを利用している場合は、病院間連携としての算定要件に当てはまるかどうかを慎重に確認する必要があります。

契約更新時には、読影品質、返却時間、疑義照会、情報セキュリティ、診療報酬上の取り扱いをあわせて確認するとよいでしょう。

病理診断管理加算・その他関連点数の変更

画像診断と直接同じ領域ではありませんが、令和8年度診療報酬改定では、病理診断管理加算など診断部門に関わる点数にも見直しがあります。

画像診断と病理診断は、いずれも専門医による診断と文書報告が医療の質を支える領域です。

そのため、診断部門全体として、専門性、品質管理、情報連携、DX対応をどう整えるかが重要になります。

画像診断領域でも、DICOM画像、読影レポート、電子カルテ、PACS、遠隔読影システムの連携が実務に大きく影響します。

改定内容を個別の点数として見るだけでなく、診断部門全体の体制整備として捉えることが大切です。

病理診断管理加算の改定内容

病理診断管理加算では、専門医による診断管理体制を評価する方向で点数の見直しが行われています。

病理医不足も課題とされる中で、組織診断や細胞診断の品質を維持するには、専門医の確保、ダブルチェック、電子的な情報共有が欠かせません。

この構造は、画像診断領域とも共通しています。

放射線科医が不足する中で、読影品質をどう保つか、診断レポートをどう管理するか、院内外の専門医とどう連携するかが問われています。

診断部門の評価が見直される流れは、画像診断体制の強化を考えるうえでも重要な示唆があります。

電子的画像管理・DICOM連携と医療DX推進体制

画像診断では、DICOM画像、PACS、電子カルテ、読影レポート、遠隔読影システムが連携して初めてスムーズな運用ができます。

医療DXの観点では、単に紙やフィルムをデジタル化するだけでは不十分です。

撮影された画像が適切に共有され、専門医によって読影され、レポートが主治医に届き、診療判断に反映されるまでの流れを整える必要があります。

また、遠隔読影を活用する場合は、画像送信、患者情報の取り扱い、既読管理、疑義照会、レポート保存まで含めた設計が重要です。

今回の改定を機に、画像診断の情報連携を見直すとよいでしょう。

改定を機に見直したい画像診断体制

令和8年度診療報酬改定は、自院の画像診断体制を見直す良いタイミングです。

CT・MRI撮影料、画像診断管理加算、遠隔画像診断の一部委託評価など、複数の変更が画像診断領域に関わっています。

とくに確認したいのは、算定できるはずの点数を取りこぼしていないか、施設基準と実際の運用が一致しているか、読影体制が持続可能かという点です。

改定対応を医事課だけの作業にせず、放射線科、診療放射線技師、システム担当、経営層が連携して確認することが重要になります。

算定漏れリスクの確認

画像診断関連の算定では、機器区分、施設基準、共同利用の有無、読影体制、報告期限など、複数の条件が関わります。

条件を満たしていても、届出や運用記録が不十分であれば、算定漏れや返戻につながる可能性があります。

改定後は、CT・MRI撮影料、画像診断管理加算、遠隔画像診断に関する運用を一度棚卸しするとよいでしょう。

医事課だけで確認するのではなく、実際に撮影や読影に関わる現場担当者とすり合わせることが大切です。

制度上の要件と現場運用のずれを早めに見つけることで、算定リスクを抑えやすくなります。

チェックすべき加算一覧

改定対応では、まずCT・MRI撮影料の区分を確認しましょう。

128列以上CTや3テスラ以上MRIを保有している場合は、改定後の区分と届出状況を整理する必要があります。

次に、画像診断管理加算1〜4の届出状況、自院読影と外部委託の割合、読影結果の報告期限を確認します。

遠隔読影を利用している施設では、委託先の施設基準、契約形態、レポート返却フロー、疑義照会の方法も確認対象です。

以下のような項目をチェックリスト化しておくと、部署間での確認が進めやすくなります。

  • CT・MRIの機器区分
  • 共同利用施設としての届出状況
  • 画像診断管理加算の届出状況
  • 遠隔画像診断の委託割合
  • 読影結果の報告期限
  • 委託先の施設基準
  • レポート確認・保存の運用

3つの読影体制から考える選択肢

読影体制は、大きく「常勤放射線科医あり」「非常勤・外部委託」「遠隔読影サービス活用」の3つに整理できます。

どの体制が正解というわけではなく、医療機関の規模、検査件数、救急対応の有無、地域連携の状況によって適した形は異なります。

重要なのは、診断の質を保ちながら、医師の負担を過度に増やさないことです。

院内の人員だけで完結させることにこだわりすぎず、必要に応じて外部専門医や遠隔読影サービスを組み合わせる視点が求められます。

①常勤放射線科医あり

常勤の放射線科医がいる施設では、自院内で読影体制を構築しやすい点が大きな強みです。

診療科とのコミュニケーションも取りやすく、緊急所見への対応やカンファレンスへの参加も行いやすくなります。

一方で、検査件数が多い施設では、常勤医だけに読影が集中しやすい点に注意が必要です。

夜間・休日対応や専門領域ごとの負担を考えると、外部支援やAI読影支援を補助的に組み合わせる選択肢もあります。

常勤医がいる施設ほど、外部リソースをどう使い分けるかが重要になります。

②非常勤・外部委託

非常勤医師や外部委託を活用する体制は、人件費を抑えながら専門性を補える点が特徴です。

常勤放射線科医の採用が難しい施設では、現実的な選択肢となるでしょう。

一方で、読影結果の返却時間、診療科からの問い合わせ対応、レポート品質のばらつきには注意が必要です。

また、令和8年度改定では、画像診断管理加算2における一部委託の扱いが見直されています。

外部委託を活用している施設では、委託割合や委託先の施設基準が算定要件に合っているかを確認する必要があります。

⚫︎関連記事:読影医はどれくらい不足している?医療現場が直面する課題と解決策

③遠隔読影サービス活用

遠隔読影サービスは、常勤放射線科医の確保が難しい施設や、読影件数が増えている施設にとって現実的な選択肢です。

外部の放射線科専門医に読影を依頼できるため、地域差や人員不足を補いやすくなります。

ただし、診療報酬上の評価を受けるには、単に外部サービスを利用するだけでは不十分な場合があります。

施設基準、契約形態、読影結果の報告体制、情報セキュリティ、レポート品質などを総合的に確認することが重要です。

Y’s REPORT / Y’s REPORT CLOUDのような遠隔画像診断サービスを活用する場合も、自院の算定要件や運用に合うかを確認しながら導入するとよいでしょう。

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参考文献